久留米市野中町の肝臓内科・血管内科・消化器内科・乳腺内科です。電話:0942-33-5006
「今回の症例呈示に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」
脳動脈に動脈硬化(プラーク)が生じ、動脈の途絶・狭窄などで脳血流が低下すれば脳機能障害が出現することは一般に知られています。
逆に、脳動脈のプラークが退縮(動脈硬化が改善)し、低下した脳動脈の血流が増えれば、認知機能などの脳機能が改善することは容易に想定可能です。
しかしながら、現状の標準的な医学では脳動脈硬化を改善させる術がありません。
今回は、そんな・・・普通ではあり得ない・・「動脈プラークを意図して減らして、認知障害を改善させる」ことが・・実際に可能であった1症例の事例を提示します。
脳血流が食事療法で改善する・・・そんな・・・・現在の標準医療では・・邪道と言われかねない医術ですが・・RAP食(血管エコー実例・研究をビジュアル解説 29))に真摯に向き合い、信じて取り組めば・・(脳)動脈血流改善などは・・誰でも普通に望めます(動脈硬化の未来塾 1)) (動脈硬化の未来塾 42)) (動脈硬化の未来塾 85)) (動脈硬化の未来塾 35)) (動脈硬化の未来塾 89))。
<家族歴>
父:85歳時、脳梗塞 93歳肺炎で他界
母:70歳時、冠動脈狭窄でバルーン治療 92歳心筋梗塞で他界
<現病歴>
2014年11月初旬 頭部MRI/MRA:脳異常なし---頸動脈に数カ所の狭窄部+
スタチン剤(クレストール )服用開始
2014年11月中旬 他の病院で脳MRI:異常なし
2015年12月初旬 仕事上の帳面をつけるのが困難に。
長谷川式簡易認知機能評価スケール:HDS-R点数=26点(満点は30点)
2015年12月中旬 脳MRI:脳梗塞疑い・・・で入院1週間。点滴治療。
2015年12月下旬 頭部MRI/MRA アルツハイマー病の診断で ドネペジル塩酸塩錠開始
プラビックス(75)1,1x開始
2016年2月初旬 プラビックス中止し、シロスタゾールOD(100)2,2x開始
2016年3月初旬 脳MRI:海馬の萎縮(―)
2016年4月 HDS-R点数=25点(30点満点)
2016年6月中旬 脳MRI:著変なし
(図1)
2017年2月初旬 当院受診 (69歳)
<初診:来院時の服薬>
<初診時現症>
BMI=24.5
血圧=100/60 (不整+)
<初診時8カ所の血管エコー所見>
<外来治療計画>
<臨床経過>
(図2)
頸動脈プラークの退縮に伴って、2018年6月にHDS-R点数=27点(30点満点)
→2018年11月にはHDS-R点数=30点(30点満点)と認知機能は改善から完治状態になった。
<血管プラークの経過>
・右内頸動脈
max-IMT=2.25(2017/2)→1.91(2017/8)→1.75(2018/1)→1.82(2018/6)・腹部大動脈
max-IMT=4.33(2017/2)→-----------------→2.98(2018/1)→2.64(2018/6)
・右大腿動脈
max-IMT=2.24(2017/2)→1.89(2017/8)→1.89(2018/1)→1.99(2018/6)→1.96(2019/1)
・左大腿動脈
max-IMT=1.49(2017/2)→1.55(2017/8)→1.43(2018/1)→1.58(2018/6)→1.54(2019/1)
・右鎖骨窩動脈
max-IMT=4.00(2017/2)→3.27(2017/8)→3.30(2018/1)
「コメント:2018年6月は、大動脈以外の全ての観察ポイントのプラークがやや悪化し、上記のように植物性の脂質を制限した効果が認められ、2019年1月には全ての観察ポイントのプラークが退縮した。」(現代人において、プラークが悪化するということは、本人にとって、必要以上の脂質を摂取している可能性があり、脂質不足による『痩せすぎ』以外の有害事象は考えにくい。RAP食は基本的に昔の田舎料理です。また、週に一度程度の家族以外との会食は禁止していません。)
<結果>
RAP食による頸動脈や大動脈、大腿動脈プラークの退縮に伴って、認知機能テスト成績が改善し、約2年後には認知機能障害が完治した。
<考察>
(1) 本例は、スタチン剤を服用開始から約1年後に、専門医がアルツハイマー病と認識するに至った画像所見と臨床症状が認められた。
ただし、現時点では、プラークの退縮によって脳血流が増加し、認知機能が正常化したと考えられるので、アルツハイマー型認知症ではなく、脳血管性の認知症であったと思われます。
そうだとすると、スタチン剤が動脈硬化の進行を遅らせるどころか、進めたのでは?との疑念が生じます。
事実、720名の高脂血症の対象者で、二重盲検法による大規模臨床試験(ENHANCE試験:米国)では、スタチン剤で強力にLDLを2年間も低下させた結果、脳・心血管系の重篤な有害事象を合計17例に認めた(内訳:心臓・脳血管関係の死亡3例のほか、脳梗塞、心筋梗塞、冠動脈ステントなどの冠動脈再建術施行などの事例が発生)・・なんと有害事象が多発していることか・・その背景として、頸動脈のプラークはスタチン剤でLDLを強力に下げても・・頸動脈のプラークは退縮せず・・むしろやや悪化・・という結果だったのです。(動脈硬化の未来塾 42))
医療現場も患者さん達も・LDLが驚くほど下がって・・・動脈硬化が進行しないと・・・安心されていたことでしょう・・・。その安心が仇になったとも思われる集計も存在します。(動脈硬化の未来塾 68))脳動脈プラーク退縮の観点からスタチン剤は中止で経過観察をアドバイスし本人の同意を得て中止とした。
(2)RAP食により動脈プラークが退縮することで得られた有益事象として、加齢黄斑変性の改善(動脈硬化の未来塾 26)) 腎機能の改善(動脈硬化の未来塾 34)) 不整脈の完治(動脈硬化の未来塾 40)) “肩こり”の消失(動脈硬化の未来塾 61)) 舌咽神経痛の治癒(動脈硬化の未来塾 81)) 睡眠時パニック発作の完治(動脈硬化の未来塾 92)) 安静時狭心症の根本治療(動脈硬化の未来塾 41)) 一過性黒内障の再発予防(経過観察可能例中で再発例がない)(動脈硬化の未来塾 73)) 網膜静脈閉塞症の経過観察可能例中で再発例がない(動脈硬化の未来塾 66)) 脊柱管狭窄症状の改善例(未掲載) 複視・SAS治癒例(動脈硬化の未来塾 25)) 高血圧の改善(動脈硬化の未来塾 62)) 変形性膝関節症による歩行障害の治癒(健康雑誌の「壮快」2019年2月号血管が若返る:特集:P46-47))など・・。
これらのプラークが退縮することによってもたらされる有益事象例は、(動脈硬化の未来塾 7))に掲載した私の仮説に基づく「動脈硬化進行の解説図」が正しいことを証明しています。
<まとめ>
脳血管性認知症はRAP食+αにて確実に治せる道筋が見えてきました。アルツハイマー病などの認知症の場合も、脳血流を改善させるという観点から、RAP食に1〜2年程、取り組まれてはいかがでしょう。
RAP食に取り組まれた皆様の奇跡的な回復を祈念いたします。
2019年2月19日 記載
真島消化器クリニック