久留米市野中町の肝臓内科・血管内科・消化器内科・乳腺内科です。電話:0942-33-5006
頸動脈プラーク他の動脈のプラークが改善すると・・・ほとんどの方が・・“肩こり”がなくなった・・・と、当方からお訪ねして・・初めて気付かれます。
そこでデータで“肩こり”と動脈硬化の関係を調べてみました。
でも・・動脈硬化の未来塾 58)で集計した1347例で検討すると、“肩こり”と“プラークの程度(動脈硬化の進行度)”との関係は全くありませんでした。(下の表1)
具体的には・・動脈硬化(プラーク)がほとんど進行していないT-maxが3.5未満であるグループの肩こりの頻度は58.3%、一方で・・動脈硬化がかなり進んだT-maxが8.0以上であるグループの肩こりの頻度は43.0%でした。
つまり、肩こり症状がある人の頻度は、血管プラークの程度とは全く関係がないことが判明しました。
しかし、食習慣点数で“プラークの少ない群”を選別可能でしたので、その群のT-max(動脈硬化総合指数)と“肩こり”群のT-maxを比較(症状の出現頻度の検討よりも・・より定量的な判定が出来るT-maxを用いた検証での比較検討)すると、明らかに“肩こり”群が“プラークの少ない群”よりもプラークが多く溜まっていることを証明できました(下の表2)。
さて・・ “肩こり”の原因の一つが動脈硬化だと証明できました・・すると・・・動脈硬化(プラーク)が改善すると“肩こり”はある程度は改善するはずです。
実際、「高血圧」の原因は動脈硬化ですから「動脈硬化の未来塾(56)」・・動脈硬化(プラーク)が改善すると「高血圧」が改善する症例「動脈硬化の未来塾(2)」が普通に見受けられ、降圧剤(血圧を下げる薬)が減量・終了(不要)になった患者さんが・・確認しただけでも61名(減量:32名、不要:29名)もおられます(2016年9月現在)。・
(・・・当院では・・血圧を下げることが診療の目標ではありませんので・・・血圧薬の減量などはお尋ねしないことが多く・・この症例数は実際よりもかなり低い人数と思われます・・)
そこで、
研究目的:プラークが改善すると“肩こり”が改善するかどうかを検討
対象:上記(表1)の1347例の中で、初診時に“肩こり“を訴えていたのは700症例(52.0%)で、その内の明らかなプラーク改善症例53例中、プラーク改善後に”肩こり“症状の変化を確認出来た25症例を検討しました。
結果:
上表のごとく、
1)25例中17例(68.0%)は完全に“肩こり”症状が消失。7例はかなり改善(28.0%)。1例のみ症状不変でした。 なお、肩こり症状が強い人ほど肩こりが消失しやすい傾向にありました。
2)プラークが改善すると・・・96.0%の方で・・肩こりが改善〜消失したのです。
考察:
1)“肩こり”の症状出現は、若年者でも認めるため、動脈硬化(プラーク)の初期変化のみならず、各種の原因による筋組織への動脈血の供給量の低下と深い関係にあることが示唆されました。
また、プラークの改善に呼応して、比較的早期に“肩こり”が改善する症例が多いことなどから・・少量の血流量の増加で・・“肩こり”が容易に改善するものと考えられます。
RAP食開始から・・1〜2ヶ月で血圧が低下(僅かなプラークの減少による)・・する症例が多いのですが・・肩こりの改善の現象も・・少量の血流増加(僅かなプラークの減少による)・・・による・・ものと考えられます。
2)動脈硬化で発生した“肩こり”は・・高血圧と同じ理屈で・・プラークが改善しない限り・・通常は良くなることは考えにくいと思われます。・・現状の治療法で治せない肩こりは・・その原因がプラークである可能性が高いと思われます。
3)肩こりの原因の一部が動脈硬化(プラーク)と述べましたが、ではなぜプラークが改善すれば肩こりの96%が改善するのでしょう?・・・・それは・・肩こりの原因が何であれ・・わずかの血流増加でも・・・・肩こり解消へはプラス効果が大である・・ことを裏付けています。
つまり・・いかなる原因で肩こりが起ころうとも・・筋肉への血液供給量を増すとこが出来る・・プラークを減らす治療法は・・・“肩こり”を根本的に治せる可能性がある・・と、考えられます。
つまり・・動脈内のラークを減らせる「RAP食」は・・全ての肩こりに有効です。
結語:“肩こり”が生じてきたら・・動脈硬化(プラーク)が進行中かもしれませんのでご注意下さい。・・ただし・・肩こりがないからと・・決して安心できません(最上部の表参照)。
2016年10月1日 記載