久留米市野中町の肝臓内科・血管内科・消化器内科・乳腺内科です。電話:0942-33-5006
(2023年1月25日:修正加筆)
この動脈硬化の図解・図説やコメントに違和感のある方は、現在の医学知識をお持ちの方でしょう。
今の動脈硬化の概念は漢字の文字通り“血管の硬化”、欧米でもarteriosclerosis:動脈硬化なのです(arterio: 動脈の、sclerosis=硬化症)。
今まで医学界はこの漢字、英単語の両方の言語に惑わされていると思います。
血管の壁(内膜&中膜)が“硬化”ではなく、“肥厚”するという現象に人類が超音波を用いて初めて気付いたのは1986年の論文からで、人間ドック(オプション検査)や臨床の現場で、血管エコーが用いられるようになってきたのは、2000年頃からですが、高解像度の装置による血管エコー、つまり (1/100)mmの精度でプラークの増減を確認できる装置が普及してきたのは2008年頃からです。
現在でもプラークを正確に測定できるDrは非常に少ないですが「プラークと食品との関係」に気付いて・・興味を持つDrは極めて少ないのが現実です。
「頸動脈プラーク 食べ物」でGoogle 検索を。
ですから、現在も動脈硬化(脳梗塞・心筋梗塞などの原因)は「コレステロール」とか「高血圧」とかである・・と・・大変悲しいことですが・・医学界では信じられているのです。
2015年の現在から考えると、まだ血管エコーの歴史は15年間なのです。
私自身の血管汚れは30歳も若くなりましたが、自身の頸動脈のプラークを見て、超音波装置の進歩に感動し、“これは革命的だ!”と叫んだのはつい4年前でした。
それまでは「動脈硬化は血管が硬くなり、石灰化して・・」程度の知識しかなかったのです。
血管の壁が汚れるなんて・・そういう発想の医学教育は全く受けていませんでした。
今の医学生は大学で、高血圧が持続して・・血管に圧のストレスがかかり続けて、血管が硬化し・・と説明がなされていると医学生から聞きました。
ですから、「動脈硬化の最大の危険因子は“高血圧”だ!」・・と、声高にテレビでも放送されています。
では、最初の高血圧はどこから来たのでしょう??
高血圧が突然やって来るわけはないのですが・・・この辺は・・原因不明の“本態性高血圧”という言葉を用いて曖昧にされているのです。
実際はこの本態性高血圧症が最も多く、高血圧症の90%以上を占めるとされていているので、本態性の真の原因を特定することはかなり重要なのです。
この本態性高血圧症になりやすい人は、いわゆる動脈硬化の危険因子を持つ人達といわれていますが、40〜50歳以上で発病する人が多いようです。
現代医学で「動脈硬化の最大の原因は高血圧だ・・」とする根拠は・・、最初の高血圧だけを原因不明の“本態性”と片づけてしまい、その後の持続する高血圧が動脈硬化を進行させる・・・・・という解釈なので・・“本態性高血圧症”がその後の動脈硬化の“原因”として認知されたのでしょう(次の厚生労働省HPの図:参照)。
最初の“本態性高血圧症”を来した原因(犯人)が姿を見せずに“本態性高血圧症”の傍に寄り添っているはずなのです・・・
考えてみれば、動脈硬化がかなり進んでいるのに、高血圧がない人がとても多くいらっしゃるのも不思議なことです(実例1)(実例2)(実例3)(実例4)(実例5)(実例6)(実例7)(実例8)(実例9)(実例10)(実例11)。
・・これは高血圧が動脈硬化の真の原因ではないことを物語っています。
逆に、長年高血圧なのに動脈硬化がほとんど進んでいない人が少なからずいらっしゃるのも事実です。(実例12)
この「高血圧が動脈硬化の原因である・・」の、論理の“からくり”に血管エコーを経験していないなら、この先一生かかっても気付くことはなかったに違いありません。
実は、今までの項目で述べてきた4年間の血管エコー結果・臨床データ・食習慣点数の分析と米国で2001年に発表された研究(高血圧症予防食事療法:DASH)から、この“本態性高血圧症”の多くが、“高脂&高糖食による高血圧”なのだと確信するに至り、しかも高血圧も動脈硬化も改善する病気であることを認識致しました。(実例13)
(高血圧と食事・プラークに関してはいずれ記事を掲載致します)
長々と前置きを述べましたが、血管壁の内膜・中膜の厚み(IMT)の肥厚が動脈硬化の本態(本流の流れ:図)を表し、そのIMT肥厚の原因が劣化コレステロールなどであり、その原因の主なものが、劣化コレステロール・糖分の過剰摂取による。・・・と思考すると全ての謎が解決されます。
図の基本的な考えはIMT肥厚やプラーク(IMT肥厚が厚い場合の表現)が動脈硬化の最大の原因と考えた場合の病態図です。
この図では、プラークを改善させない限り、一人で幾つもの動脈硬化疾患になるのが当たり前であることに気付かれることでしょう。そして、そういう事例が私たちの周りで当たり前に起こっているのも事実です。
テレビなどで有名な方が脳梗塞と大腸ガンを患ったり、脳梗塞さらに数年後に心臓バイパス術や大動脈瘤の治療を受けていたり、・・・、脳梗塞した人が再発したり、・・冠動脈ステント治療受けた人が・・さらに他の冠動脈まで治療を余儀なくされ、次に腎不全で血液透析を受けたり、・・・と
この社会を疲弊させる病気の連鎖を断ち切らねばなりません。
そのためには、この図は必須なので、そういう意味で作成しています。
一般の方や厚生労働省の担当官に、動脈硬化の病態を、時間を加味したビジュアル図で説明すれば理解していただけるかな・・と・・いう思いを込めて・・、
特に注意していただきたいのは、
「高血圧が脳梗塞・心筋梗塞の最大の危険因子です・・・」とか「脳梗塞の前ぶれは・・・などです・・」「脳梗塞予防のために運動しましょう・・」と新聞やテレビで知識を入れていて安心していると、とんでもないことになります・・。
脳梗塞・心筋梗塞は何の前触れもなく、突然起こることが多いことは肝に銘じておいて下さい。
今年の津波による死亡者数に関して「リアス式海岸地帯より、今まで安全と考えられていた平地の方が亡くなる確率が高かった」「リアス式海岸地帯の中でも、比較的安全な地帯と考えられていた地域に、より多くの死者が出た」これらの事実を教訓に
人の命や尊厳に関わることは、危険因子のデータで安心するべきではないのです。
2009年11月に「脳梗塞・心筋梗塞は予知できる」を出版した後の骨休みに京都の嵐山へ旅行致しました。各駅停車の電車の中で白い杖を持ち、半身と目と言葉が不自由なご主人に付き添っておられるご婦人の話が耳に飛び込んできました。
「高血圧や糖尿病もなく、肥満でもないのに・・、薬は飲んでいるけど・・5年で4割くらい再発するらしくて・・心配で心配で・・」という内容でした。
8カ所の血管エコーは脳梗塞・心筋梗塞の予知に最も貢献できる検査法なのですが、この方には残念ながら間に合いませんでした。
しかし、食生活をガラッと変えて、血液サラサラ薬を飲みながらプラークが改善すれば、脳梗塞の再発の心配はないといっても過言ではないのです。
8カ所の血管エコーでプラークの進行・改善を確認しながら治療を続ければ、よりよい結果がもたらされるに違いありません。
図では、プラークの堆積という“動脈硬化の本流の流れ”から枝分かれして様々な病気を呈示していますが、それらの病気の相互関係はあまりなく、プラークが進行する限り、血管の状態は次々に右へ進み、動脈硬化関連の全ての病気が何度となく降りかかっても不思議ではありません。(参照1)(参照2)
とにかく、図に示した“症状”“疾患”などがある方は8カ所の血管エコー健診をなるべく早くお受け下さい。(参照3)
また、残念ながら50歳以上の今日の日本人は非常に危険な状態といわざるを得ません。食習慣で心当たりのある方はご相談下さい。
この図をご覧いただき、皆さん方の子孫が動脈硬化の病気で苦しむことがないように、現在の世代が務めなければいけません。
今・更なる負の遺産(食習慣)を次の世代へ引き継ごうとしているのです。
子供だから肉や揚げ物を沢山食べても消化して全て身になる・・・訳ではないのです。聞き分けがないなら(実例5)を見せてその訳を説明致しましょう。
小学生以上なら自分のことですから理解し納得できると思います。
この図は厚生労働省のホームページから抜粋したものですが、原因不明の高血圧が、いつの間にか“原因”になって動脈硬化を起こすように描かれています。
高血圧も、動脈硬化も、心臓病も脳卒中も“動脈硬化の本流の流れ”の結果だと理解いただけますでしょうか?
脂質異常症に関しては、LDLの値と動脈硬化の程度とはあまり大きな関係がないことを既に証明しています。
糖尿病に関しても、多くの合併症が怖いので糖尿病が怖いのですよね・・
その多くの合併症は“血管のよごれ”つまり動脈硬化と密接に関係があるのです。
それならば、血管の“きれい”または“よごれ”具合はA1cよりも知りたいですよね・・。
糖尿病の方は、直ぐにでも8カ所の血管エコーを受けるべきですが、少なくとも頸動脈エコーは最低でもお受け下さい。
今まで私のホームページにお付き合いいただいた方々には、私の動脈硬化説明図をあまり悩むことなくご理解いただけると思います。
先日、たまたま受診された公衆衛生に関わる保健婦の方に説明致しましたら、これは“みんなが知る権利がありますよね・・!”と言われましたが、別に秘密にしているわけでもありません。