脳梗塞・心筋梗塞の予防法

“LDLが200以上でもスタチン剤は不要 ”は、ウソか?真実か?の検討。

現在の医療現場では、「悪玉のLDLが高いから」「L/H比が2.2以上だから」とか・・そんな理由で、多くの担当医が、コレステロールを下げるスタチン剤の服用を勧めています。

でも、それは正しいのでしょうか?

当院受診時に、LDLが200程度以上であり、RAP食を守れた症例を中心に検討しました。

今回は、事実関係にスポットを当てて、「講演会での情報などを元にスタチン剤を処方しているが、その後の臨床経過において、何か腑に落ちない・・」などという感じをお持ちの先生が、きっとおられるはずです。そんな時・・「医療を見つめなおす一助」になればという思いもあり、症例提示させていただきます。

「今回の症例呈示に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」

<症例1. 55歳 女性>

図1

<症例の要約>

  • 父:83歳で心筋梗塞。現在87歳で健在。
  • 母:83歳で健在
  • 2013年1月頃・・健診にてコレステロール高値指摘 LDL=216
  • 2018年10月 LDL=240 TG=152 HDL=63
  • 2019年3月 A循環器内科にて ロトリガ(2)1P,1x開始
  • 2019年6月 RAP 食開始(ネット、書籍参考にして)
  • 2019年8月 LDL=246 LDL高いので、A循環器内科にてスタチン剤を勧められるが、食事で頑張るから、とスタチン剤を断る。同時にロトリガ(2)1P,1xも中止となる。
  • 2019年9月 LDL=208
  • 2020年1月 当院-初診

<治療>:RAP 食指導+α:『エパデールS(900)2,2x & ラックビー微粒N,2g,2x 、当院推奨トコロテン260g/d(130gx2/d) ,ブルガリア脂肪0ヨーグルト80g/d (5月以降は50g/d)』開始。

  • 2020年7月 当院-再診

<結果>:表1に記載。

表1

RAP食
日付 LDL TG HDL L/H比 左頸動脈分岐部
プラーク(mm)
右鎖骨下動脈
プラーク(mm)
ビフォー 2020年1月 229 75 65 3.8 1.78(図1上左) 2.61(図1下左)
アフター 2020年7月 217 109 42 5.2 1.28(図1上右) 2.36(図1下右)

RAP 食以前の食習慣の特徴:

  • 食習慣点数=450点 (女性としてはかなり高値)
    「鳥の唐揚げ:大好き、エビの揚げ物:大好き、刺身トロ:大好き、ハンバーグ:大好き(週に1回)、ケーキ類:大好き、バターつけたパン:大好き、牛乳:5年以上も毎日300cc程度飲んでいた時期がある・・」
  • 全体的には、揚げ物:好き、甘いもの:好き、肉:好き、魚:普通、野菜:好き。
     

コメント):

  • プラークの原因は、LDLではなく、日頃の食習慣です。
  • RAP食で、明らかに、プラーク(動脈硬化)を改善できています
  • また、右鎖骨下動脈のプラークが石灰化した白い部分も、薄く減っています。

本人の兄は内科・脳神経外科専門の開業医です。再診時に、当院受診直後のお兄様の感想をお尋ねしたら 「コレステロールを下げる薬を飲まないなんて・・・と、“けちょんけちょん”に叱られた・・」・・・そうです。多分・・私に対しても・・“けちょんけちょん”に思われたのでしょう。現代医学の常識に従っていないのですから、無理もありません。

<症例2. 53歳 女性>

図2

<症例の要約>

  • 父:78歳で脳梗塞に、79歳の現在半身麻痺で入院中
  • 母:79歳 認知症
  • 2001年9月頃 健診で脂質異常を指摘されるが内服なし。
  • 2013年12月頃 めまい&ふらつき症状で婦人科受診。女性ホルモンの低下を指摘される。
  • 2014年4月頃 脂質異常でクレストール(スタチン剤)内服開始
  • 2017年3月頃 クレストール中止。
  • 2017年10月 A内科にてリバロ(スタチン剤)内服開始
    この頃に閃輝暗点が20分程度、3回あり。その後、顔が痺れ三叉神経痛といわれた。
  • 2017年12月 A内科にて右頸動脈プラーク=1.3mm を指摘。
  • 2018年3月 当院ホームページ閲覧
  • 2018年5月 リバロ服用を中止
  • 2019年9月 TC=312 LDL=234 TG=88 HDL=55
  • 2019年10月 RAP 食開始(書籍&ホームページを参考に)
     
  • 2019年12月 当院-初診  -- 受診目的:両親みたいになりたくない --

<治療>:RAP 食指導+α:『EPA製剤(900)2,2x & ラックビー微粒N,2g,2x 、推奨トコロテン130g/d ,ブルガリア脂肪0ヨーグルト60g/d』開始。

  • 2020年5月  当院-再診

<結果>:表2に記載。

表2

RAP食
日付 LDL TG HDL L/H比 右鎖骨下動脈
プラーク(mm)
腹部大動脈
プラーク(mm)
ビフォー 2019年12月 206 129 66 3.1 3.52(図2上左) 2.23(図2下左)
アフター 2020年5月 178 112 46 3.9 2.91(図2上右) 2.08(図2下右)

RAP 食以前の食習慣の特徴:

  • 週に3回はサバ、サバ缶、塩サバ、イワシ、ブリなどの青魚中心(全て脂質が多い)。
  • 昼は、調理パン(菓子パンなど)が多かった
  • 20年間:パン1枚にマーガリン2gを塗って食べていた

コメント):

  • プラークの原因は LDLではなく、やはり“食習慣”
  • 明らかに、プラーク(動脈硬化)を改善できています
  • EPA製剤にLDLを下げる働きはありませんので、RAP食でLDLの値が234→178まで低下したことになります。ただし、LDLが低下したのでプラークが改善したわけではありません。

    つまり、プラークを堆積させるような食習慣が、LDLも上昇させていたという事にすぎません。

    薬でLDLを234→178まで低下させても、食習慣は変わりませんので・・プラークが減ることは決してありません。
  • 初診時の肩こりは、5ヶ月後にはすっかり治っていました

<症例3. 59歳 男性>

図3

<症例の要約>

  • 父:80歳から認知症・・86歳:誤嚥性肺炎で他界。
  • 母:65歳で心筋梗塞、85歳で2回目の心筋梗塞・・現在90歳。
  • 1990年頃〜高脂血症指摘
  • 2018年3月 高脂血症指摘にて、
    食事療法開始(カロリー2000Kcal, 脂っこいもの控え、野菜多め)
  • 2018年5月 A医大にて 
    右頸動脈分岐部プラーク=2.38mm, 左頸動脈分岐部プラーク=2.60mm, 右鎖骨下動脈プラーク=1.52mm を指摘。(A医大の右鎖骨下動脈測定開始は私の研究の影響らしいです)
  • 2018年6月 リバロ1T(スタチン剤)内服開始するも、左肩の違和感出現
  • 2018年7月 リバロ2Tへ増量も、左肩の強い凝り感出現で1Tへ戻す。
  • 2018年10月 リバロ→クレストールへ変更するも、左肩懲りと足の“つり”出現
  • 2018年12月 LDL=166 TG=110 HDL=66 なので、ゼチーア1T追加。左肩の強度の凝り持続。 仕事が忙しくなり、病院へ行けず・・ゼチーア&クレストールは自己中止
  • 2019年1月 当院のホームページ閲覧
     
  • 2019年7月  当院-受診

<治療>:RAP 食指導+α:『エパデールS(900)2,2x & ラックビー微粒N,2g,2x 、トコロテン400g/d ,ブ脂肪0ヨーグルト100g/d』開始。

  • 2019年12月 当院-再診

<結果>:表3に記載。

表3

RAP食
日付 LDL TG HDL L/H比 腹部大動脈
プラーク(mm)
左頸動脈分岐部
プラーク(mm)
ビフォー 2019年7月 253 177 54 4.7 2.65(図3上左) 2.75(図3下左)
アフター 2019年12月 190 89 56 3.8 2.45(図3上右) 2.59(図3下右)

RAP 食以前の食習慣の特徴:

  • 週に5回は魚を食べ、サバ、サンマ、ブリ、シャケなどの脂質が多い魚が多かった。
  • 30歳頃から3年前まで、ほぼ毎日1回は調理パン・菓子パン・バターつけた食パンなどを食べていた。3年前から週に3〜4回に減らしている。
  • 酒類摂取では、25〜50歳まで毎日ビール大瓶で5本。51歳からは2週に1回だけ、ビール大瓶2〜3本。

コメント):

  • プラークの原因は、LDL ではなく、明らかに食習慣でした!
  • スタチン剤を服用する事なく、5ヶ月間でプラーク(動脈硬化)を改善できています。
  • 両親のご病気も、家族性のLDL高値が原因ではなく、日頃の家族の食習慣という環境が影響しているものと推察されます。本例もRAP食だけでLDLが253→190へ低下しています。LDL低下はあくまでも食事療法による単なる結果です。この低下したという結果がプラークを減らしたのではありません。
  • なお、ヨーグルトの量が少なければもっと改善していたでしょう。再診時に、ヨーグルトの量を必ず減らしていただくように指導いたしました。

<症例4. 60歳 男性>

図4

<症例の要約>

  • 1988年頃  高脂血症指摘
  • 2006年6月 高脂血症で、リピトール(5)1,1X(スタチン剤)開始
  • 2008年8月 高血圧で降圧剤服用開始
  • 2009年8月 担当医に相談し、降圧剤を中止。
  • 2014年4月 睡眠時無呼吸症候群(SAS)指摘
  • 2018年6月 LDL=139 TG=49 HDL=77
  • 2018年8月 A病院 脳MRI=白質病変:数個+ 頸動脈エコー:左頸動脈ピプラーク=1.2mm,
    右鎖骨下動脈プラーク=3.2mm 指摘あり。高尿酸でフェブリク1T開始。
  • 2018年9月 当院のホームページを閲覧。 TC=230 Cr=1.05 かかりつけ医(B医院)に相談してリピトールを中止書籍&ホームページを参考にRAP食開始
  • 2018年10月 B医院にて、エパデールS(900)2P,2x開始
     
  • 2018年11月 当院-受診
<治療>:RAP 食指導+α:『ラックビー微粒N,2g,2x 、トコロテン300g/d(2019年10月から500g/dへ) ,脂肪0ヨーグルト80g/d(2020年4月からブルガリア脂肪0ヨーグルト40g/d)、脂肪0飲むヨーグルト200cc/d(2019年10月から中止) 』開始。エパデールS(900)2P,2xはB医院で継続
備考):ヨーグルトに関しては、途中で上記のごとく、指導を修正。
 

  • 2019年12月 当院-再診

<結果>:表4に記載。

表4

RAP食
日付 LDL TG HDL L/H比 右鎖骨下動脈
プラーク(mm)
左大腿動脈
プラーク(mm)
ビフォー 2018年11月 211 88 76 2.8 2.70(図4上左) 2.30(図4下左)
アフター 2020年6月 205 79 63 3.3 1.95(図4上右) 1.79(図4下右)

RAP 食以前の食習慣の特徴:

  • 食習慣点数=450点(かなりの高値)
  • 週に3-4回はサバ、サンマ、ブリ、シャケ、マグロ赤身 など。
  • 毎日オリーブオイル:大さじ1杯を、2016年から初診までの2年以上もサラダにかけて摂取していた。コメ油を大さじ1杯、毎日の炒め物に使用。さらに、2016年からの半年間は、ココナッツオイル大さじ1杯をコーヒーに入れて飲用していた。

コメント):

  • プラークの原因は LDL ではなく、やはり食習慣。
  • スタチン剤を止めて・・RAP 食を開始したところ、LDLが200以上にも関わらず、2年足らずでプラーク(動脈硬化)をかなり改善できています。 
  • MRI での白質病変の出現は、健康に良いとされている植物オイル摂取と脂ののった魚の摂取が原因でしょう。 RAP食を継続させれば、白質病変の消失も期待が持てます。
  • スタチン剤を服用しないRAP食なら、プラークの石灰化まで改善するという事実にご注目ください。
  • RAP食開始してから Cr=1.05→0.98→0.89 へと・・腎機能が改善(図4)しています。

<症例5. 62歳 女性>

図5

<症例の要約>
父:45歳時に狭心症、脊柱管狭窄症あるも90歳で健在。
母:81歳で認知症・・86歳:健在

  • 2001年1月 高脂血症指摘
  • 2006年6月頃〜クレストール(スタチン剤)開始(飲んだり飲まなかったり)
  • 2013年4月 TC=222 LDL=123 TG=117 HDL=70
  • 2015年4月 TC=180 LDL=84 TG=78 HDL=79
  • 2016年8月     LDL=110 TG=161 HDL=68
    頸動脈エコー:右内頸動脈プラーク=2.1mm 指摘される。当院ホームページ閲覧して、RAP食を開始。6年前から飲用していた〇〇酵素と△△酵素を止めた。
  • 2016年11月 当院-受診

<治療>:RAP 食+:『エパデールS(900)2,2x & ラックビー微粒N,2g,2x 』で治療開始。クレストール:中止。

  • 2017年5月  当院-再診

<結果>:図5&表に記載。

  • 2018年11月  当院-再診

<結果>:図5&表に記載。

表5

RAP食
日付 LDL TG HDL L/H比 右内頸動脈
プラーク(mm)
ビフォー 2016年11月 155 100 72 2.2 1.71(図5上)
アフター 2017年5月 202 138 67 3.0 1.42(図5中)
  2017年11月 209 86 72    
アフター 2018年11月 170 131 65 2.6 0.62(図5下)

注)2016年6月のLDLは、クレストールを止めて8日目の採血。LDLが低いのは,クレストールの影響が残っているため。

RAP 食以前の食習慣の特徴:

  • 食事点数=279点 甘いもの:好き、肉:嫌い、野菜:大好き揚げ物:好き、魚:好き

コメント):

  • スタチン剤を止めて・・LDLが200前後で推移するも、プラーク(動脈硬化)は順調に改善しました。
  • 10年間通院して服用していたクレストールは、何のためのお薬だったのでしょうか? 
    (この疑問に関する答えは、脂質栄養学会が動脈硬化学会へ出した公開質問書に記載)
  • プラークを見ることができない血圧計中心の医療体制では、LDLやL/H比に怯える毎日を過ごさなくてはいけません。

 

<おわりに>:
スタチン剤(コレステロール低下薬)に関して、
脂質栄養学会のホームページや今回のケースをご覧いただくと、お判りかと思いますが、
健診データで、「LDLが高いから」と、どんなに脅されても・・・すぐに承諾してはいけません。

“食事で頑張ってみます”と、お願いしましょう。

さらに担当医は・・「食事でLDLは下がりませんよ・・」とおっしゃるでしょう。

そんな時は、
「“薬”にあまり頼りたくないので・・」とか、
「“薬”にあまり頼りたくないので・・“(原料が食品)EPA製剤”なら飲んでもいいかな・・」と返答ください。
(頸動脈エコーでプラークを指摘されていれば、EPA製剤が必要な場合も多いです)

この返答で、担当医の心理は・・「こだわりを持つ患者さんに、薬を無理に勧めると、次回から他の所へ受診なさるかも・・」という思いへ傾き、患者様の意向を尊重してくれます。

つまり、
スタチン剤とは・・その程度の薬なのですが(脂質栄養学会の意見を参照)、依然として、多くの臨床の先生がスタチン剤を“神聖な薬”かのような推奨をされています。

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“好きなものを食べ、好きなものを飲みたい” それが望みの方は、薬でLDLを下げてくださる担当医のお考えを信じて・・楽しくお過ごし下さい。 
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{ これらの症例が不思議に思われる方は、さらなる情報を閲覧ください。 }

1)プラークとは、何ですか?
 (動脈硬化の未来塾 31)) 

2)スタチン剤を飲まないで・・本当に治るの? LDL が200以上でも大丈夫?
 (動脈硬化の未来塾 52))(動脈硬化の未来塾 68))
 (動脈硬化の未来塾 75))(動脈硬化の未来塾 1))
 (動脈硬化の未来塾 103))(動脈硬化の未来塾 33)) 

3)動脈の石灰化は治らないと聞きますが、治るのですか?
 (動脈硬化の未来塾 11))(動脈硬化の未来塾 82))

4)青魚の油は健康にいいと、聞きますが、間違いですか? 白身魚は?
 (動脈硬化の未来塾 86))(動脈硬化の未来塾 90))
 (動脈硬化の未来塾 94))(動脈硬化の未来塾 53))
 (動脈硬化の未来塾 45)

5)オリーブ油やエゴマ油などの植物油は、健康にいいと聞きましたが、間違いですか?
 (動脈硬化の未来塾 54))(動脈硬化の未来塾 48))
 (動脈硬化の未来塾 63))(動脈硬化の未来塾 66))
 (動脈硬化の未来塾 76))(動脈硬化の未来塾 78)) 

6)大豆食品は健康にいいと聞きますが、間違いですか?
 (動脈硬化の未来塾 87))(血管エコー実例・研究 29))

7)脂肪0の牛乳由来のヨーグルトは、多く食べても問題なさそうですが、間違いですか?
 (血管エコー実例・研究 29))

8)マクロファージの貪食能を高めると思われる食品は?
 (血管エコー実例・研究 29))
 
9)腎機能が悪くなる原因は?  RAP 食で腎機能は改善しますか?
 (動脈硬化の未来塾 36))(動脈硬化の未来塾 34))

10)チョコ・ナッツ・アボカドなどは、動脈硬化を防ぐ食べ物ですか?
 (動脈硬化の未来塾 88))(動脈硬化の未来塾 95)) 

(つぶやき)
2020年7月23日のテレビで、感染症の歴史の物語の放映がありました。
初めて知る医学の悲しい歴史でした。

感染制御の父:“イグナッツ・ゼンメルワイス(1818―1865)” の偉業に関する内容でした。
「手洗いと消毒で、産褥熱で死亡する妊婦を劇的に減らせた功績(緻密な観察と統計学で実証)」を挙げたにも関わらず、当時の医学界の権威により否定され・・当時の人々からも賞賛されませんでした。医学の正しい発展が遅れたのは、いうまでもありません。

顕微鏡が発明され(1550)、細菌の存在を人類が知り(1683)、顕微鏡が高性能になり、コッホが結核菌を発見(1882)・コレラ菌を発見(1883)するまで、感染症の原因は“瘴気”が原因とされていたのです。

その後、コッホの元で研究した北里柴三郎がペスト菌を発見(1894)しました。志賀 潔が赤痢菌を発見(1897)するなどしています。

さて、
現在の医学界では、動脈硬化(プラーク)の原因が、まだ“LDL”と信じられています。
血管エコーでプラークを緻密に観察していれば、LDLが原因ではないことは明白なのですが・・。

「コッホの3原則」的な論理性で考えれば

もしLDLがプラークの原因であれば、

  1. LDLを増やすとプラークが明らかに増えなければならない。→そのような事実はない
  2. LDLを減らせば、プラークが明らかに減らなければならない。→そのような事実はない
    (N Engl J Med ; 359:529-533、July 31, 2008)(大規模臨床試験ENHANCE試験:米国)

もし、食習慣による過剰な脂質摂取がプラーク(動脈硬化)の原因の一つと考えるならば、

  1. 脂質制限の食習慣でプラークが、明らかに減らなければならない。→そのような事実は非常に多い。
  2. 脂質を増やした食事に戻すと、明らかにプラークが再度増えなければならない。→そのような事実は非常に多い。

もし、マクロファージの貪食能・脂肪分解能が、プラーク改善に関係していると考えるならば

  1. 脂質摂取量が同じで、マクロファージを活性化させる食品を摂取すると、プラークは明らかに改善しなければならない。→そのような経験の事例は多く存在する。
  2. 脂質摂取量が同じで、マクロファージ活性を抑制するかもしれない食品を摂取することで、プラークは明らかに悪化しなければならない。→そのような経験の事例は非常に多く存在する。(血管エコー実例・研究 29))

2020年7月28日記載
真島消化器クリニック
真島康雄

 


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