脳梗塞・心筋梗塞の予防法

オリーブオイルは動脈硬化(プラーク)を進行させる。頻回の摂取は危険。

  • 地中海地方の人々は、他の西洋人に比べて心臓病が少ない。でも日本人より短命。
  • 地中海地方の人々は、他の西洋人に比べて認知症が少ない。でも日本人より短命、しかも、50年前の日本には認知症はほとんど存在しなかった。つまり・・オリーブ油を使う必要はない。
  • 高級オリーブオイル(エキストラバージンオイルなど)がLDLを下げますが、そもそも薬でLDLを下げてもプラークは改善しませんし、LDL低下の意味合いは、実際に動脈硬化の本態であるプラークを治せている立場からすると・・・・全く重要な事ではありません。
  • オリーブオイルは動脈硬化を防ぐと言われていますが・・ 血液はサラサラ(油で血小板が血管壁に付着しにくい状態を単に“血液サラサラ”と「素人向け」に表現しているだけ。でも、油ですから血液の粘度は物理学的にはヌルヌル・ドロドロになりますので、誤解してはいけません)になりますが、「オリーブ油でプラークを減らした」という・・科学的証明(写真など)はありません。
  • 「動脈硬化を予防する食品」・・・超音波装置でプラークを観察できなかった時代の言い伝えは信じてはいけません。 たとえ、専門のDrの発言であっても、食品で動脈硬化(プラーク)が改善するか、進行するかどうかの研究結果はご存じではありませんので、その点はご理解下さい。
  • オリーブオイルは酸化しにくいそうですが、酸化していない魚の刺身の多食や、オリーブオイルのドレッシングの常用でもプラークが堆積します。  必要以上に摂取された油は・・・酸化していても、していなくても・・血管壁にゴミ(プラーク)として溜まるのです。

複雑な気持ちですが・・・「私の指導を守らず・・しかもしばらく受診しなかった人達」のお陰で・・・「オリーブオイルの頻回の摂取は健康を害する」という・・極めて貴重な科学的証拠をご覧頂けます

症例1. 68歳 男性  「明らかにオリーブオイルの毎日摂取でプラーク悪化」

2011年5月の初診時には左の総頸動脈には明らかに存在していなかったのに・・・テレビの様々な健康番組がオリーブオイルを勧めるので、私の指導を忘れて2013年5月から高級オリーブオイルを小さじで毎日生食&ほとんど毎日オリーブオイルを使った料理にしていたとのこと・・・・ その他の食習慣は全く同じとのこと。また、その他の動脈にプラークの大きな変化は認めませんでした。

久しぶりに受診された場合は、8カ所の血管を再度見直す必要があります。ある食習慣で、ある一部分の動脈のみに著明にプラークが堆積する場合があるからです。

健康になっているとの自信を携えて、2016年5月に久しぶりに受診。
結果は・・ 脳梗塞直前までにプラークが悪化!

プラーク進行の原因は、毎日のオリーブオイル料理と、小さじ1杯のオリーブオイルの生での摂取でしょう。


症例2. 62歳 女性  「オリーブオイル&ココナッツオイルでプラーク悪化」

以前からオリーブ油を使った料理が得意。2013年5月に A-max(腹部大動脈)=2.3mm
F-max(大腿動脈)=2.0mm C-max(頸動脈)=1.21mm にてRAP食を指導。
でも・・その1年後の2014年5月にはオリーブオイルの使用を再開し、さらに2015年5月からは話題のココナッツオイルを自家製ケーキに入れたり、頻回に頂くコーヒーの中に入れたり、小さじ一杯を生食したり、料理に入れたりと・・オリーブオイルと併用して使用。

2016年5月にはA-max=2.88mmまでに動脈硬化が悪化。 この動脈硬化の急激な進行の原因は、主にオリーブ油と思われますが、ココナッツオイルもプラーク悪化に関与しているものと判断されます。

なお2013年、5月には、左頸動脈分岐部のプラークは1.1mm、右鎖骨下動脈のプラークは2.0mm、右大腿動脈は2.0mmでしたが、2016年5月には左頸動脈分岐部のプラークは0.92mm、右鎖骨下動脈のプラークは1.92mm、右大腿動脈は1.93mmでした。

つまり、8カ所の血管を観察しなければ食品によるプラークの悪化の真実が見えてこないことになります。


症例.3 65歳 女性 「オリーブオイル+米油・ココナッツオイルでプラーク悪化」

2013年8月の初診時はA max=3.2mm   S-max(右鎖骨下動脈)=3.0mm
F-max=1.7 mm C-max=0.9 mm で、脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=3でした。

ノンオイルのRAP食を指導して、3ヶ月後の2013年11月にはA-max=3.2mm→2.76mm へプラークが改善!・・その後・・・安心されたのでしょう・・いつの間にか、テレビの影響で・・・オリーブオイル使用の料理が増えて、2014年6月頃からは 週に4-5回はオイル使用料理(週に2〜3回はオリーブ油、週に2〜3回は米油orココナッツオイルを使用)を食べるようになった。

2016年6月には・・A-max=3.2→2.76→3.55mmへ急激にプラークが肥厚!
動脈硬化が進行した原因はオリーブオイル&ココナッツオイルの料理への頻回使用です。

6月の久しぶりの受診の理由は、脳梗塞直前の症状である“朝のふらつき症状”を自覚したからでした。腹部大動脈以外のプラークの変動は少なく、8カ所の血管エコーを観察しなければ、これらの危険は察知できません。人1人の運命が8カ所の血管エコーにかかっているといっても過言ではありません。

なお、他の部位においては、プラークの著明な悪化は認めませんでした。頸動脈エコーだけで安心していると・・・大変なことになります。

 

症例4 35歳 女性 「若くても、オリーブオイルの毎日摂取は極めて危険」

2017年6月初診
症状:低血圧・肩こり・胸の違和感
BMI=20.0 普通体型
食習慣点数=98点
LDL=118 TG=69 HDL=78
血圧=94/56 P=72(整)

<事実確認>
1)「特別な食習慣」
食習慣の特徴=5〜6年前からオリーブオイルを料理に毎日使用

その盛りつけした料理の上に、更に大さじ1杯のオリーブオイルを、毎日かけて食べていた
最近の6ヶ月はグレープシードオイルやエゴマ油も使用していた。

2)「特別な臨床所見:35歳:女性でプラーク=2.55mm」:85歳の女性の平均と同じ

考察:

1)上記の特別な食習慣(毎日のオリーブオイル料理+生のオリーブオイル:大さじ1杯)が、普通では有り得ない・・特別な臨床所見(35歳で脳梗塞可能レベルの血管プラーク)を来したと考える以外に理由が見あたらない。

2)頸動脈エコーだけで動脈硬化がない・・と、安心するのは極めて危険だと・・改めてご理解いただけるかと思います。

 

症例5 72歳 女性 「“オリーブオイルを止めて3ヶ月で若返った!笑“」

症例5の説明
家族歴:母84歳時:くも膜下出血・・8年間寝たきり・・92歳で他界
    妹60歳:大動脈瘤破裂で他界:長らく外食&デパ地下食のみで生活。

現病歴:
2005年から高脂血症指摘
2006年頃からエゴマ油又はオリーブオイルの大さじ1杯を毎日料理に使用していた。
2012年から毎朝、食パンに付けてオリーブオイル大さじ1杯を摂取開始。

2015年5月頃〜頭痛&息苦しさが時々出現・・その後持続。
2016年7月〜健康にいいからと「アマニ油小さじ1杯を毎日経口摂取」を追加で開始
2017年3月〜頭痛&腰痛・背部痛など体調不良が顕著になり、生活のリズムが壊れた。
      夕方から頭がボーとなって横になりたい症状:疲れ感+、毎夜のこむら返り+

2017年4月 脳MRIで脳白質病変1ヶ所指摘される

2017年7月 上記症状が持続するために当院受診
F-max=2.10mm A-max=1.57mm S-max=1.72mm C-max=1.65mm T-max=7.04mm 脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=2(0〜4)  RAP食、他で治療開始

2017 年 10 月 3 ヶ月後 F-max=2.10→1.85mm A-max=1.57→1.23mm
C-max=1.65→1.54mm へと、観察ポイントのプラークが全て退縮。

初診時に認めた症状は全て消失 頭痛→0 腰痛・背部痛→0 息苦しさ→0
頭がボーの症状→0 疲れ感→0 こむら返り→0

「2017年10月の本人のコメント」は“疲れにくい! 身体が軽くなった、若返った感じがする”でした。

<この症例の結論>:時系列の事実関係を照らし合わせると、度重なる植物油の過剰摂取により、脳動脈や全身の動脈において急速なプラークの肥厚が生じ、それによる血流障害により、健康を害したと言わざるを得ません。知らずに放置すると、うつ病や認知症・脳梗塞へも移行する危険がありました。知人に心当たりがありませんか?

2017年11月24日 症例5追記

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オリーブオイルなどは・・血液がサラサラになるので健康にいい・・と、いわれていますが、・・・実は「動脈硬化予防には逆効果」・・という事実をご理解下さい。

「隠れ脳梗塞」や「脳の白質病変」の方々は、プラークが堆積している場合が多く、そのために脳動脈が細くなって血流が悪くなり、頭の回転が鈍くなる場合がありますが、このような場合は、オリーブオイルではなく、病院薬であるEPA製剤などを飲むべきでしょう。

しかし、「脳の白質病変」の方などで、EPA製剤を飲んでいない人がオリーブ油や亜麻仁油などの血液サラサラ効果がある油を頻回に摂取すれば、一時的には頭の回転がよくなるかもしれません。 でも・・2〜3年後にはプラークが進行して脳梗塞に至るケースも考えられますので、脳の白質病変を指摘された方がオリーブ油を継続して頻回に摂取することはとても危険な事なのです。
頻回のオリーブ油摂取は脳血管にもプラークが堆積しやすい訳ですから、認知症・脳梗塞を発病しやすくなります。「過ぎたるは及ばざるがごとし」

テレビをご覧になって、認知症予防のためにとせっせとオリーブ油添加の料理を作って食べておられる方はくれぐれもご注意下さい。EPAなどの血液サラサラ成分は、ゆっくり吸収されて、1週間位してやっと体外に出ますので、オリーブ油などのサラサラ効果を求めるなら、週に1〜2回の摂取で充分です。

なお、オリーブ油を週に1〜2回ほど、少量使用しても、・・現在の所・・プラーク(動脈硬化)が進行したケースの経験はありません・・が、オリーブ油を使いながらの・・プラーク改善例の経験ほとんどありませんので、動脈のプラークを減らしたい方は、全ての植物性の油は使わないのが賢明です。

 

以下:2017年11月24日 追記
<参考資料 >

  1. 動脈硬化の未来塾63)ココナッツオイルで急速に頸動脈プラークが肥厚し、TIAを発症
  2. 動脈硬化の未来塾48)ココナッツオイル・エゴマ油・アマニ油などの常用は・・・
  3. JAMA. 1990 Mar 23-30; 263(12):1646-52.
    「The influence of diet on the appearance of new lesions in human coronary arteries.」


    Blankenhorn DH1, Johnson RL, Mack WJ, el Zein HA, Vailas LI.
    要約:心臓の冠動脈疾患患者のベースラインと2年間のフォローアップ冠動脈造影とを比較すると、動物性飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸(オリーブ油)および多価不飽和脂肪酸の摂取は、すべてにおいて新しいアテローム硬化性病変(プラーク)の有意な増加と関連していた。 プラーク病変は、どのような供給源からでも、すべての脂肪摂取量を減らすことによってのみ成長(新たなプラーク)を停止した。  したがって、脂肪カロリーの代替としては、一価不飽和脂肪酸(オリーブ油)および多価不飽和脂肪酸ではなく、蛋白質や炭水化物が好ましい」

***つまり・・オリーブ油などの全ての植物油はプラークの原材料になりうる******

米国のUSDA Food Composition Databases によれば 食品100g中に
魚油  :飽和脂肪酸29.892g 一価不飽和脂肪酸=33.841g
     多価不飽和脂肪酸=31.867g
アマニ油:飽和脂肪酸8.976g 一価不飽和脂肪酸=18.438g
     多価不飽和脂肪酸=67.849g
エゴマ油:飽和脂肪酸3.34g 一価不飽和脂肪酸=6.61g 多価不飽和脂肪酸=28.83g
オリーブ油:飽和脂肪酸13.808g 一価不飽和脂肪酸=72.961g
     多価不飽和脂肪酸=10.523g
ココナッツ油:飽和脂肪酸86.5g 一価不飽和脂肪酸=5.8g 多価不飽和脂肪酸=1.8g
動物脂(ラード):飽和脂肪酸39.2g 一価不飽和脂肪酸=45.1g 多価不飽和脂肪酸=11.2g

@:魚油(青魚など)とブタの脂(ラード)は・・ほとんど同じですね・・・海水中の植物プランクトンが産生するEPA・DHAを魚が食物連鎖で取り込んでいるために、少しだけ多価不飽和脂肪酸が多いのですが・・。魚油にも飽和脂肪酸が30%含まれている事をご存じでしたか?
(先入観・迷信は恐ろしいものです。魚の脂は不飽和脂肪酸だから・・常温では液体だから・・・健康にいい・・・などの説明は、公衆衛生学的には極めて望ましくありません。動脈硬化の未来塾 45)魚の過食は動脈硬化を進行させるか?
ちなみに魚油の100g中に・・ほんの15%(g)前後のみがEPA・DHAです。

上記の研究(JAMA)は、全ての動物脂、全ての魚の脂、全ての植物油がプラークの原因物質になり得るという、非常に貴重な研究です。27年前に既に真実が報告されていました。

何か、世の中の人・多くのDrを含めて・・みんな誤解していませんか?
その誤解が多くの人を不幸の道へと案内しているかもしれません・・・・・。
 (医学の世界では、「抗血小板剤=血液サラサラ薬」として表現。血液が油の粒子でドロドロ・ヌルヌルでも、血小板の凝集能力さえ低下すれば医学的には“血液サラサラ”と表現します。プラークは医学的ではなく、血液中の超微粒子の脂肪滴が物理学的に堆積します。ですから、抗血小板剤を強力に服用しても、アルコール摂取や食習慣次第でプラークは溜まり続けるのです。オリーブオイルやエゴマ油、他の植物油に多少の“血液サラサラ”効果があったとしても、それらの微粒子の油粒子は流体力学的に平然と血管壁内へ溜まり続け、プラークの一部となるのです。医学は物理学に従うべきなのです。:動脈硬化の未来塾 11)プラーク形成・・・・)

2016年7月4日 記載

2017年11月1日 症例4追記

2017年11月24日症例5追記 他

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