脳梗塞・心筋梗塞の予防法

エゴマ油の毎日飲用が頸動脈狭窄を進行させたと思われる1例と、その治療

症例1 61歳女性

血管を強くする目的で、毎日せっせとエゴマ油を飲んで、6ヶ月後に“立ちくらみ”が頻発するようになって・・・、その6ヶ月後に頸動脈エコー検査で頸動脈狭窄の進行を指摘され・・・本当に脳梗塞寸前と思われる方が受診されました。 頸動脈プラークの詳細は(動脈硬化の未来塾 31)を参照下さい。

初診の4ヶ月前にはエゴマ油摂取を止めていましたが、8カ所の血管エコーでは脳梗塞・心筋梗塞のリスクレベル=4(0〜4)でした。RAP食(血管エコー実例・研究を 29)をご理解いただき、エゴマ油中止継続とRAP食で頸動脈狭窄が改善しました。
以下が当院受診までの経過です。

初診時よりRAP食を開始し、EPA製剤(病院薬)900mgx2本、ビフィズス菌製剤(微粒)1gx2 を服用いただきました。

さらに、担当医に9年以上も飲み続けているスタチン剤の服用を中止いただくようにお願いし、2017年1月よりコレステロールを下げるスタチン剤(アトルバスタチン5mg)を中止していただきました。
(スタチン剤を9年以上も飲み続けても“たちくらみ”症状が出現、頸動脈狭窄も進行するなど・・スタチン剤は・・現実に何ら効果が認められていません)

  • 1年後には右内頸動脈のプラークは3.99→2.96mmへ、右頸動脈分岐部のプラークも、2.37→1.64mmへ明らかに退縮(改善)し、したがって頸動脈の流れもかなり改善。
    (図の上下段のカラー部分が実際の血流を示しています。太く膨らんでいた内頸動脈(白矢印)の直径が細く(元に戻りつつある)なってきました)
  • 右内頸動脈狭窄症 72%→57% に改善
  • A1cも改善しました
  • LDLは78→162へ上昇 L/H比も1.1→1.9 へ上昇。(全く意味ありません。心配無用)
  • 臨床経過では、“たちくらみ”症状は全く消失、肩こりもほとんど気にならない程度にまで回復

 

「考察」

<A1cの低下に関して>
この低下はRAP食の効果でもありますが、スタチン剤を止めたのでエネルギー代謝に関わる重要な酵素(CoQ10)の活性が元に復帰したためという考えも成り立ちます。
スタチン剤の中止もプラーク改善に大きく寄与しているでしょう(動脈硬化の未来塾 52) (動脈硬化の未来塾 68)

周知の事実ですが、スタチン剤はCoQ10阻害剤でもあるために、糖尿病を発症したり、糖尿病を悪化させたりする場合があります(薬の説明書に明記あり)。

<LDL上昇・L/H比上昇に関して>
論より証拠。全く意味ありません。悲しまないで下さい、プラークが治ればいいんですから。薬でLDLやL/H比が下がったと喜んでいる人がいれば・・・・哀れんであげて下さい。その方は間違った方向へ歩んでいます。たぶん担当医自身とそのご家族も。
その根拠は(動脈硬化の未来塾 68) をご覧下さい。

<頸動脈プラークの評価>
ちなみに、脳梗塞の患者さんの頸動脈プラークの平均は2.27mm です(本例は3.99mm)
(動脈硬化の未来塾 59)
性別で分けて検討すると女性の脳梗塞症例の平均頸動脈プラーク=1.9mmでした。

したがって・・・“脳梗塞にならなかったのがラッキー”といえる状態でした。

<エゴマ油に関して>
本例はプラークの治りが非常にいいですが、これは初診の4カ月前までエゴマ油を毎日摂取していましたので、その大きなマイナス要因が完全にoffになった事による好影響と考えられます。

したがって、2016年1月〜急速に体調が悪くなった最大の要因は「エゴマ油の毎日摂取」であっただろうと推察されます

現在は健康でも、各種の植物油(例外なし)を毎日摂取するようになると、発作性心房細動やTIA(一過性脳虚血発作)や、残念なことに“脳梗塞”になってしまうことも普通に考えられます。

あらゆる植物油の摂取継続・過多はくれぐれもご用心下さい。(動脈硬化の未来塾 54)
魚油(動物性の飽和脂肪酸が20〜30%程度も含まれています)も同様です。
テレビで放送されているからと100%信じて突き進んではいけません。

何事も、“過ぎたるは及ばざるがごとし”なのです。

<プラークの治療に関して>
プラークはRAP食(病院薬のEPAまたはDHA併用を推奨ですが、併用なしでも改善可能です)で、ほぼ確実に改善しますので(動脈硬化の未来塾 69) (動脈硬化の未来塾 38)色んな情報に惑わされることなく私の結果を信じて実行してみましょう。きっと良い結果が訪れるでしょう

未来のために、100人中99.9人が助かる(不幸にならないで済む)方法を研究中です。

<頸動脈狭窄症の治療に関して>
この症例は、右内頸動脈の狭窄率が72%であり、施設によっては手術(内膜剥離術)やステント留置術を勧める場合もありますが、基本的に頸動脈狭窄症は観血的な治療は特に必要ではありません。心を入れ替えればですが・・頸動脈狭窄症はRAP食で改善します(動脈硬化の未来塾 35)

なお、ステント留置術や内膜剥離術では、脳梗塞などの重篤な合併症も報告されています。しかも、これらの治療はあくまで局所治療ですので、危険を覚悟で治療が成功したとしても、脳血管の狭窄による脳梗塞の危険回避には決してなりません。

そんな危険を冒さないでも、
RAP食と抗血小板剤の続行で内科的に治療が可能です。まずはRAP食を信じて真摯に食生活の改善に取り組んで下さい。

この症例も初診時72%の狭窄率が1年で57%までに狭窄率が改善し、今後も更に狭窄率の改善が見込まれます

私個人を信じるというよりも、私の科学的な観察から得られた事実を信じるかどうかなのです。

                          

2018年2月6日 記載
真島消化器クリニック

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