脳梗塞・心筋梗塞の予防法

サバ缶の頻回摂取でプラークが悪化したと思われる症例。鯖缶の頻回食は危険

現在の健康常識は、EPAが健康にいい→青魚にEPAが多く含まれているから→
青魚の多食・頻回食を推奨。・・でもこれは論理に無理があります。

認め難い方もおられるでしょうが、・・そもそも

  • 牛や豚や人間の先祖は共通で・・太古の昔、海に住んでいた魚です。
  • 青魚の先祖も魚です。
  • 魚がEPAを作り出すのではありません。
  • 人はEPAだけを選んで食べることはできません。

ただ、現在の魚は海に住んでいて植物プランクトンなどが作り出すEPAを食物連鎖で10〜20%程度その体に含有していますが、基本的な動物性の脂肪の量は、現在の豚や牛などの動物と・・大差ありません。

だったら、EPAが含まれているからと言って、魚を頻回に食べるということは・・EPA以外の動物性の脂肪もたくさん摂取することになります。

「海に住んでいる動物(=魚)の脂肪が、陸に住んでいる動物(=牛)よりも健康にいい」は迷信です。

鯖缶の頻回食の他にプラーク肥厚の原因が見つからなかった症例を経験しましたので、提示します。

症例1. 60歳 男性


(写真1)

<経過>
・血管診察での初診:2015年4月

<8カ所の血管エコー所見> 2015年4月 当院初診時
1. 腹部大動脈max-IMT=0.90mm
2. 右大腿動脈max-IMT=1.96mm(プラーク観察部位)
3. 左大腿動脈max-IMT=1.92mm(プラーク観察部位)
4. 右鎖骨下動脈max-IMT=2.31mm(プラーク観察部位)
5. 右頸動脈分岐部max-IMT=0.77mm
6. 左頸動脈分岐部max-IMT=1.07mm
7. 右総頸動脈max-IMT=0.46mm
8. 左総頸動脈max-IMT=0.56mm

<血管プラークの経過>
・右鎖骨窩動脈

max-IMT=2.31(2015/4)→2.21(2015/7)→2.18(2015/10)→2.33(2016/5)
→2.15(2016/12)→2.06(2017/6)→1.84(2017/12)2.03(2018/6)
1.91(2018/12)mm
(写真1に提示)

「コメント:2016年5月から順調にプラーク改善中でしたが2018年6月に急にプラークが悪化」


・右大腿動脈

max-IMT=1.96(2015/4)→1.85(2015/7)→1.80(2015/10)→1.79(2016/5)
→1.75(2016/12)→1.72(2017/6)→1.51(2017/12)1.76(2018/6)
1.58(2018/12)mm
(写真1に提示)

「コメント:2016年5月から順調にプラーク改善中でしたが2018年6月に急にプラークが悪化」


・左大腿動脈

max-IMT=1.92(2015/4)→1.68(2015/7)→1.65(2015/10)→1.76(2016/5)
→1.71(2016/12)→1.80(2017/6)→1.71(2017/12)2.00(2018/6)
1.88(2018/12)mm

「コメント:2016年5月から順調にプラーク改善中でしたが2018年6月に急にプラークが悪化」


<サバ缶の食べ方>
2018年の1月から週に2〜3缶(脂質量では約47〜70g:納豆なら10〜15個分の脂質に相当)の割合で6ヶ月間も継続して食べ続けました。

(備考:大豆の脂質は、たとえ発酵食品である納豆や豆乳ヨーグルトであっても、その過剰摂取は、動物の脂質と同様にプラークの肥厚をもたらす。)(動脈硬化の未来塾 87) (動脈硬化の未来塾 88))


<結果>

1)2018年の6月に、それまで順調にプラークが改善していたのに、突然に3カ所のプラーク観察部位共にプラークが悪化した。その原因は詳細な食歴の調査などから「鯖缶の頻回食」であったと推定された。

2)2018年6月以降は、食習慣はそのままで、鯖缶のみの摂取を控えたら2018年12月にはプラークが改善した。

3)奥様は順調にプラークが退縮中であり、夫婦は3食ほとんど同じ食事の生活でしたが、唯一異なる食品はサバ缶でした。奥様は、サバ缶は好みではなく、ご主人のみが食べていました。

以上より、鯖缶の頻回食によりプラークが肥厚したものと考えられる。


<考察>

  • 青魚の過食・頻回食プラークを肥厚させることはすでに証明済みです。
    (動脈硬化の未来塾 86) (動脈硬化の未来塾 53) (動脈硬化の未来塾 45)
  • 純粋なEPAやDHA(病院薬)で血液が少しだけサラサラになったとしても、血管がプラークで詰まってしまえば、サラサラ効果は何の意味もありません。
  • サバ缶を一人で毎日1缶食べれば、もっとプラークが堆積していたと考えられます。
  • 魚の脂質と大豆の脂質過剰は大腿動脈にプラークとしてたまりやすいので、サバ缶を頻回に食べている方は、大腿動脈まで検査していただくのが賢明です。

<まとめ>
サバの水煮缶が健康にいいとする世相は、鯖缶の多食・頻回食を招き、それは血管プラークの急速な肥厚を生じさせ、脳や心血管病の発症を早める懸念がある。



2018年12月19日 記載
真島消化器クリニック

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