久留米市野中町の肝臓内科・血管内科・消化器内科・乳腺内科です。電話:0942-33-5006
現在の健康常識は、EPAが健康にいい→青魚にEPAが多く含まれているから→
青魚の多食・頻回食を推奨。・・でもこれは論理に無理があります。
認め難い方もおられるでしょうが、・・そもそも
ただ、現在の魚は海に住んでいて植物プランクトンなどが作り出すEPAを食物連鎖で10〜20%程度その体に含有していますが、基本的な動物性の脂肪の量は、現在の豚や牛などの動物と・・大差ありません。
だったら、EPAが含まれているからと言って、魚を頻回に食べるということは・・EPA以外の動物性の脂肪もたくさん摂取することになります。
「海に住んでいる動物(=魚)の脂肪が、陸に住んでいる動物(=牛)よりも健康にいい」は迷信です。
鯖缶の頻回食の他にプラーク肥厚の原因が見つからなかった症例を経験しましたので、提示します。
(写真1)
<経過>
・血管診察での初診:2015年4月
<8カ所の血管エコー所見> 2015年4月 当院初診時
1. 腹部大動脈max-IMT=0.90mm
2. 右大腿動脈max-IMT=1.96mm(プラーク観察部位)
3. 左大腿動脈max-IMT=1.92mm(プラーク観察部位)
4. 右鎖骨下動脈max-IMT=2.31mm(プラーク観察部位)
5. 右頸動脈分岐部max-IMT=0.77mm
6. 左頸動脈分岐部max-IMT=1.07mm
7. 右総頸動脈max-IMT=0.46mm
8. 左総頸動脈max-IMT=0.56mm
<血管プラークの経過>
・右鎖骨窩動脈
max-IMT=2.31(2015/4)→2.21(2015/7)→2.18(2015/10)→2.33(2016/5)
→2.15(2016/12)→2.06(2017/6)→1.84(2017/12)→2.03(2018/6)
→1.91(2018/12)mm(写真1に提示)
「コメント:2016年5月から順調にプラーク改善中でしたが2018年6月に急にプラークが悪化」
・右大腿動脈
max-IMT=1.96(2015/4)→1.85(2015/7)→1.80(2015/10)→1.79(2016/5)
→1.75(2016/12)→1.72(2017/6)→1.51(2017/12)→1.76(2018/6)
→1.58(2018/12)mm(写真1に提示)
「コメント:2016年5月から順調にプラーク改善中でしたが2018年6月に急にプラークが悪化」
・左大腿動脈
max-IMT=1.92(2015/4)→1.68(2015/7)→1.65(2015/10)→1.76(2016/5)
→1.71(2016/12)→1.80(2017/6)→1.71(2017/12)→2.00(2018/6)
→1.88(2018/12)mm
「コメント:2016年5月から順調にプラーク改善中でしたが2018年6月に急にプラークが悪化」
<サバ缶の食べ方>
2018年の1月から週に2〜3缶(脂質量では約47〜70g:納豆なら10〜15個分の脂質に相当)の割合で6ヶ月間も継続して食べ続けました。
(備考:大豆の脂質は、たとえ発酵食品である納豆や豆乳ヨーグルトであっても、その過剰摂取は、動物の脂質と同様にプラークの肥厚をもたらす。)(動脈硬化の未来塾 87) (動脈硬化の未来塾 88))
<結果>
1)2018年の6月に、それまで順調にプラークが改善していたのに、突然に3カ所のプラーク観察部位共にプラークが悪化した。その原因は詳細な食歴の調査などから「鯖缶の頻回食」であったと推定された。
2)2018年6月以降は、食習慣はそのままで、鯖缶のみの摂取を控えたら2018年12月にはプラークが改善した。
3)奥様は順調にプラークが退縮中であり、夫婦は3食ほとんど同じ食事の生活でしたが、唯一異なる食品はサバ缶でした。奥様は、サバ缶は好みではなく、ご主人のみが食べていました。
以上より、鯖缶の頻回食によりプラークが肥厚したものと考えられる。
<考察>
<まとめ>
サバの水煮缶が健康にいいとする世相は、鯖缶の多食・頻回食を招き、それは血管プラークの急速な肥厚を生じさせ、脳や心血管病の発症を早める懸念がある。
2018年12月19日 記載
真島消化器クリニック