脳梗塞・心筋梗塞の予防法

原因不明の片側性視力低下が、RAP食で治癒したと思われる1症例

30代以降に生じる原因不明の疾患は・・動脈硬化を疑う必要がありそうです。
でも、動脈硬化は・・通常では改善しませんので、動脈硬化が原因で生じる病気を・・根本的なに治すことなど・・現代の医学では・・ほぼ期待できません・・だから不治の病。

でも、RAP食(複合的な内容を含む食事指導)に取り組むことで、プラークが改善すれば(動脈硬化が治れば)、不治の病が根本から治ることなど・・普通に期待できます。

今回、動脈硬化が原因となっていたと考えられる、“急に出現した片側性の視力低下”がRAP食で治癒したと思われる症例を経験したので、供覧します。
「今回の症例呈示に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」


『原因不明の片側性視力低下が、RAP食で治癒したと思われる1症例』
Case. 50歳 女性

図&表


主訴)
頸動脈狭窄症 高脂血症

<初診時までの経過>

  • 2015年5月 健診で左眼のみ視力低下(右視力=1.5 左視力=0.2)
    例年、年に1回の視力検査を健診で受けているが、2013年までは視力は正常であった。
  • 2016年11月頃より、後頭部の締め付け感&首のコリを感じるようになる。
  • 2017年7月 健診で左眼のみ視力低下(右視力=1.2 左視力=0.3)は持続。
  • 2018年4月 一瞬のめまいと、閃輝暗点(約40分間)あり。脳MRI=異常なし
    頸動脈プラーク指摘(右)健診で左眼のみ視力低下(右視力=1.2 左視力=0.2)は持続。
  • 近医、脳神経外科受診。右頸動脈=3.4@mm 左頸動脈=1.6@mm指摘あり、A総合病院へ紹介。
  • 2018年7月 A総合病院の血管エコー 右頸動脈=2.@ mm 左頸動脈=2.@ mm 。
    スタチン剤を勧められ、処方されたが服用しなかった。
  • 2018年8月 不安になり、漢方薬局で漢方薬2種類(血管を柔らかくする作用):服用開始
  • 2018年12月 A総合病院の血管エコー 右頸動脈=4.@ mm 左頸動脈=2.@ mm 。
    と、プラークが急激に悪化?!(脳外科での結果と、当院での結果を勘案すれば・・単に技術的な問題と思われます)。
    強くスタチン剤を勧められるも、服用したくなかった。

<2019年3月 当院 初診>

症状:
1)頭がボーと、集中できないことが多い 2)頭痛 3)肩こり・首コリ 
4)左手のしびれ感
 など

食習慣:
  • 夜の食事はほぼ外食。コンビニ弁当を週に3個(10年間)
  • 魚の食べ方:週に3回程度(サンマ、アジ、ホッケ、カジキマグロなどから選択)
  • 食習慣点数=384点(高得点)。

食の好み:
甘いもの:好き、肉:普通、野菜:好き、魚:大好き、揚げ物:普通。

<2019年3月初診時の血管エコー>
8カ所の血管エコー(血管エコー実例・研究 1))
腹部大動脈IMT=0.81mm((A-max)
右鎖骨下動脈=0.88 mm(S-max)
右頸動脈分岐部IMT=3.44 mm (C-max)
左頸動脈分岐部IMT=1.72 mm
左内頸動脈IMT=1.10 mm
右総頸動脈IMT=0.46 mm 左総頸動脈IMT=0.71 mm
右大腿動脈IMT=0.46 mm 左大腿動脈IMT=0.67 mm(F-max)
******脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=4(0〜4)****** T-max=5.80 mm

<初診時の服薬状況>
1) 漢方薬2種類(血管を柔らかくする作用): 服用中

治療:
最新のRAP食を開始(血管エコー実例・研究 29))
1)漢方薬2種類…中止していただいた。
2)EPA製剤900mgx2-開始  (スタチン剤:不使用)
3)ビフィズス菌製剤 2.0g,2x 開始

結果:
10ヶ月で動脈硬化改善(プラーク退縮)

<プラークの経過>

血管の部位

2019/3(max-IMT)

2020/1(max-IMT)

右頸動脈分岐部

3.44 mm

3.06 mm:(図1)プラーク改善

左内頸動脈

1.10 mm

1.03 mm:プラーク改善

左頸動脈分岐部

1.72 mm

1.71 mm  プラーク不変

プラークが退縮中。

<症状の変化>

症状

2019/3

2020/1

コメント

頭のボーとした感

あり

なし

プラーク減で脳の血流改善

頭痛・肩こり・首コリ

あり

軽快

脳や筋肉・腱などの血流改善

左手のしびれ感

あり

なし

脊柱管狭窄?の改善?

眼精疲労(疲れ目)

あり

なし

視力改善で

考察:
1)プラークの原因は・・外食の多い食習慣で、(動脈硬化の未来塾 104))に掲載のケースと同じかもしれません。

2)原因不明の、急速に生じた・・片側性(全身疾患ではなく局所の病変が原因)・・眼底では異常所見なく・・これから推測すると、異常な部分は・・眼底で捉えた情報を脳に伝達させる左右の神経の内、左側の情報を伝える伝達回路(配線=神経)を、何らかの動脈が圧迫していた可能性があります。
そのために、圧迫していた血管のプラークが改善したために、血管径が小さくなって、神経を圧迫しないようになって視力が回復したものと考えられます。

これらの病態疾患を総称して“神経・血管圧迫症候群”という病気があります。
当院サイトでの、“プラークを改善させたら舌咽神経痛が治った症例”(動脈硬化の未来塾 81))を参照ください。

<メモ>
“神経・血管圧迫症候群”に関しては、徳洲会病院グループのウエブサイトによると・・舌咽神経痛以外にも、顔面痙攣(片側の顔の引き攣れ)、三叉神経痛(顔の痛み)、耳鳴りを随伴するめまい、痙性斜頸(顔の引きつった傾斜)、舌萎縮(片側舌萎縮)、動眼神経麻痺(瞼の垂れ下がり)、半身知覚障害(半身の感覚異常:椎骨動脈の延髄圧迫)、高血圧(椎骨動脈の橋・延髄移行部の圧迫)などが知られています。

これらの症状がある場合は、動脈硬化が進んでいる(プラークが肥厚している)可能性があります。

採血の、LDL値での評価ではなく、・・直接!・・動脈内を観察できる血管エコーを受けるべきです

本例でもそうですが、脳MRIでは、血管の詳細は把握できないのです(動脈硬化の未来塾 57))。

まとめ:
プラークをRAP食で退縮させたら、4年間治らなかった視力低下が治った症例を経験した。
この経時的な治癒経過により、本例は“神経・血管圧迫症候群”であった可能性を否定できない。
“神経・血管圧迫症候群”や動脈硬化による影響が疑われる不治の病とされる様々な疾患(動脈硬化の未来塾 7))に関しては、スタチン剤をoffにして、RAP食を試みるのが賢明な方策と考えられる。

<あとがき>
中国の眼科医師で、新型肺炎による大流行(アウトブレイク)の危険性をしらせようとしたDrに、当局は「社会の秩序を著しく乱す」と警告したそうです。

毎日・毎日・・血管をエコーで見ている立場からすると、現代日本の中高年には、プラーク(動脈硬化)のアウトブレイクが起こっています。・・なのに、プラークに確実に効く証拠もない薬を・・飲むだけで・・効果があるように強く説明している多くの専門外来・・・・あるある・・ではないでしょうか。これは、はたして正しい医療秩序なのでしょうか?

動脈硬化に関してですが・・「薬」で動脈硬化の進行を食い止められていないという現実・・を直視ください。さらに当院の新患での集計では、コレステロール低下薬を飲んでいた群の方が、飲んでいない群よりも、プラークが進行していました(動脈硬化が進んでいました)(動脈硬化の未来塾 68))。

LDLの値を指標にして作成されたガイドラインではプラークは改善しません。

血管プラークの状況を踏まえて、食事指導を取り入れたガイドラインが作成されるべきでしょう。

動脈硬化が関係しているかもしれない・・治らない病気をお持ちの方・・お悩みの方で・・縁を感じられたら、直接にご相談ください。

2020年2月7日記載
真島消化器クリニック
真島康雄


「脳梗塞・心筋梗塞の予防法」目次へ戻る

Dr.真島康雄のバラの診察室

携帯版のご案内

お知らせ

リンクページ