脳梗塞・心筋梗塞の予防法

血管力よりも血管プラークが大切。“血管力”は脳梗塞予防の役に立たない・・血管年齢で安心は危険。

はじめに:
現状の“血管年齢検査”・・・美容の分野や血管内皮機能や脳出血予防との関係などの・・他の分野での利用価値を否定するつもりはありませんが・・現在、最も多い脳梗塞・心筋梗塞などの・・その予知に関わる判断材料に・・決して用いてはいけない検査・・それは血管年齢検査として普及しているCAVI検査です。
ABI検査(足の動脈の詰まり具合の検査)も同様です。

研究目的:“血管力”が大きな話題になっていますが・・血管年齢検査であるCAVI検査にスポットを当て・・“血管力が・・実は動脈硬化(プラーク)とほとんど関係ない”・・という・・事実を正しく認識していただくことを目的とした。

対象:2015年2月から2016年8月の間で・・CAVI検査・ABI検査のレポート用紙を持参され、8カ所の血管エコーを行えた32名。年齢は46歳〜83歳。男性20名 女性12名。

方法:CAVI検査結果・ABI検査結果と、全身の8カ所の血管エコー所見から得られた脳梗塞・心筋梗塞のリスクレベルとを比較検討した。

F-max:左右の大腿動脈のプラークの厚さのMAXの高さ(mm),
A-max:腹部大動脈〜腸骨動脈に至る範囲での動脈のプラークの厚さのMAXの高さ(mm),
S-max:右鎖骨下動脈〜腕頭動脈にかけての動脈のプラークの厚さのMAXの高さ(mm),
C-max:C-左右の頸動脈&総頸動脈のおける動脈のプラークの厚さのMAXの高さ(mm),
T-max:F-max+A-max+S-max+C-max  で表され、単位はmmです。一人の動脈硬化を数字で表現できますので、あらゆる研究に応用できます。ちなみに、男女における平均寿命の時間差は男女のT-maxの時間差に等しいのです。

結果:

1)脳梗塞・心筋梗塞のリスクレベル=4 (数日から数ヶ月後には脳梗塞・心筋梗塞に極めてなり易い状態:すぐにでも抗血小板剤の服用が必要)の14症例の内、CAVI検査で問題なしとされた症例が9例(64.3%)も存在した。

2)脳梗塞・心筋梗塞のリスクレベル=4と診断され、ABI検査をされていた13症例中、ABIが正常と判断されたのは11症例(84.6%)であった。

3)脳梗塞・心筋梗塞のリスクレベル=4と診断され、MRIを行われていた9例中  脳MRIで異常なしと判断されたのは、3例(33.3%)も存在した。

4)MRIにて脳白質病変(微小脳梗塞ともいわれている)を認めた5例中4例(80.0%)は脳梗塞・心筋梗塞のリスクレベル=4 でした。

考察:

1)今のところ・・“血管力”・・という定量判定困難な検査結果は・・“脳梗塞になって・・寝たきりや・・半身不随になりたくない・・”という願いを叶えたいのであれば・・・信頼すべき検査ではありません。
生データを出していますので・・以下のそれぞれの症例を通して・・・CAVI検査(血管年齢検査・血管の硬さ検査)・ABI検査(足の動脈の詰まり具合の検査)が・・脳梗塞・心筋梗塞・認知症の原因であるプラークの状態を・・・反映していないという事実を・・御自身で判断下さい

2)極めて原始的な検査方法であるABIなどをしなくても・・足や大腿動脈の詰まり具合なら・・・エコーで腸骨動脈・大腿動脈・膝窩動脈を・・直接観れば確実な定量的な評価が可能なのですが・・。
ただし、頸動脈をエコーして・・腸骨動脈・大腿動脈・膝窩動脈を追加で時間をかけて検査しても料金の上乗せが出来ませんので・・コストだけが重くなり・・不思議です。

3)「脳のMRI検査=異常なし」この所見の判断はその通りなのですが・・異常なしの結果を頂いても・・決して・・「脳梗塞にならない」と思ってはいけません。

4)MRIで「脳白質病変」が少しある・・などと指摘されたら・・副作用の少ないEPA製剤やDHA+EPA製剤などの血液サラサラ薬の服用を担当医に検討していただき・・真摯にRAP食に向き合いましょう。誰もがなりたくないと願っている・・その脳梗塞の足音が聞こえます・・・。


2016年8月8日 記載

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