久留米市野中町の肝臓内科・血管内科・消化器内科・乳腺内科です。電話:0942-33-5006
はじめに
ガンの研究では、ガンの早期発見早期治療のために、ガンの自然史に関する研究は数多く存在しますが、動脈硬化のプラークの自然史に関する研究・報告は皆無です。
今回は、8カ所の血管エコーを受けて、9年以上経過後に再受診された方の血管プラークの変化をご報告いたします。
動脈のプラーク、その自然経過を知ることは、動脈硬化(プラーク)の早期発見・早期治療のためには、必ず知っておきたい情報です。
プラーク治療に携わるDrや医療関係者、および一般の方の健康に対する危機管理向上のための、事実確認の資料として、実例を公開いたします。
「今回の掲載に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」
『症例1. 提示』
症例1 51歳男性・・・脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=1 (0〜4)でした。
11年後はどうなったでしょう。

2009年11月診察時点の食習慣、他:
食習慣点数=204点 甘いもの=嫌い、肉=好き、野菜=好き、魚=好き、揚げ物=大好き、酒類=好き
BMI=22.3 父:70歳で脳梗塞 母:76歳で脳梗塞

コメント:
○11年前の各動脈のチェックポイントのIMT(mm)はほとんど変化なく、左内頚動脈の前壁のみが急激にプラーク肥厚。
○11年ぶりに受診された時はLDL=112 と、11年前のLDL=162から低下していました。
おそらく、健診での評価は:『問題なし』 と言われ、安心されていたはずです。
教訓:
○生活習慣によっては、急激に想定以外の場所のプラークが悪化することがある。
このことは、すでに他の記事でも掲載済み。(動脈硬化の未来塾-94))
○LDLが下がって、安心し、喜んで、血管エコーの定期検査を疎かにしてはいけない。
○「脂質の摂取過多や飲酒過多はプラークを悪化させる」と、理解していても・・・
脳梗塞リスクレベル1であっても、油断して11年も経過すれば脳梗塞リスクレベル=4(0〜4)に。
『症例2. 提示』
症例2 56歳男性・・・脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=0(0〜4)でした。
10年後はどうなったでしょう。

2011年6月 初診時点の食習慣、他:
食習慣点数=940点 甘いもの=嫌い、肉=大好き、野菜=嫌い、魚=嫌い、揚げ物=大好き、酒類=普段は飲まない
BMI=25.6 父:60代に冠動脈閉塞で心不全に

コメント:観察部のみのプラーク肥厚。
教訓:
○「脂質の摂取過多や飲酒過多はプラークを悪化させる」と、理解していても・・・
脳梗塞リスクレベル=0 でも、10年もすれば脳梗塞リスクレベル=2(0〜4)に。
『症例3. 提示』
症例3 46歳女性・・・脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=1(0〜4)でした。
9年6ヶ月後はどうなったでしょう。

20014年8月 初診時点の食習慣、他:
食習慣点数=248点 甘いもの=嫌い、肉=普通、野菜=好き、魚=好き、揚げ物=普通、酒類=大大好き
BMI=25.1 母:78歳で脳梗塞

コメント:
○9年6ヶ月で、おそらくIMT=<1.00mmだったと思われる部位のIMTが3.36mmと激しく肥厚。
○この症例は、9年6ヶ月の間、LDL=94→-------→125と正常域でした。
教訓:
○「脂質の摂取過多や飲酒過多はプラークを悪化させる」と、理解していても・・・
○「LDLが低くても・正常でも、生活習慣でプラークは悪化する」と、理解していても・・・
○脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=1 でも、9年6ヶ月もすれば脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=4(0〜4)に。
ですから・・・
○「LDLが正常域なら、プラークは悪化しない」と、理解している場合は、もっと悲惨な結果だったのでしょう。
○「LDLを薬やサプリで下げれば、プラークは悪化しない」と、理解している人は極めて危険です。
(動脈硬化の未来祝 68)) (動脈硬化の未来祝 52))
『今回の3症例の血管プラークやLDL、L/H非の変化』
| Case No | Age | Sex | 頸動脈以外の 動脈の観察(IMT) (前mm→後mm) |
頸動脈の観察(IMT) (前mm→後mm) |
想定外の部位のプラーク増 | LDLの変化 | L/H比の変化 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 51 | M | RSA(1.4→1.39) RFA(1.1→0.98) LFA(1.6→1.34) Ao,(2.0→1.96) |
RCA(1.1→0.86) RCCA(0.5→0.46) LCA(1.1→0.72) LCCA(0.6→0.64) |
LCA (?→5.35) |
162 →113 |
3.1 →2.3 |
| 2 | 56 | M | RSA(1.00→1.00) RFA(1.07→068) LFA(0.67→0.66) Ao,(1.32→1.84) |
RCA(1.23→1.84) RCCA(0.73→0.56) LCA(1.21→1.39) LCCA(0.56→0.81) |
84 →---- |
---- | |
| 3 | 46 | F | RSA(1.43→2.53) RFA(0.56→056) LFA(0.67→0.55) Ao,(1.17→1.12) |
RCA(061→1.38) RCCA(0.61→0.62) LCA(0.92→?) LCCA(0.51→0.51) |
LCA (?→3.36) |
94 →124 |
0.9 →1.2 |
Age=観察前の年齢、RSA=右鎖骨下動脈、RFA=右大腿動脈、LFA=左大腿動脈、Ao=腹部大動脈、
RCA=右頸動脈分岐部(内頸、外頸動脈を含む )RCCA=右総頸動脈、IMT=内膜・中膜肥厚の厚さ
LCA=左頸動脈分岐部(内頸、外頸動脈を含む )LCCA=左総頸動脈、
(備考:一般的にIMT≧1.00mmの場合、プラークmm という表現が用いられる。)
***** つぶやき ******
『視覚的な動脈硬化の診断が必要』
○町中のいたるところに監視?カメラがあり、カメラによる自動運転の車が実用化されつつある現在・・・、
どうして自分の動脈内を定期的に観察することもなく、LDLの数値や血圧や体重やA1cなどを羅針盤にして、どうして不安なく生きていられるのでしょう?
○サプリでLDLが下がって安心したり、薬でLDLが下がって安心したり、どうしてそんなに・・・血管の中を確認もしないで・・信じていられるのでしょう。
先生がおっしゃるからでしょうか?
○胃の調子がいい・・便通がいい・・だけで、胃カメラや大腸内視鏡「視覚診断」を受けないでいると・・大腸ガンのステージ3〜4で発見されることが多く、非常に危険であることは、皆様の周りで経験済みのはずです。
『脳梗塞・心筋梗塞の単純な理由』
○人間は、その動脈の内膜・中膜の部分に脂肪がたまり、プラークとして動脈血流を減少させ、進行すれば動脈血流が遮断されます。
○脳動脈の血流が低下すれば、不眠や認知症などを生じやすくなり、心臓の冠動脈の血流が低下すれば狭心症や不整脈などへ。(動脈硬化の未来祝 7))
○冠動脈の血流が遮断されれば、突然死や心筋梗塞、その後には不自由人生となる心不全状態が待ち構えています。
『医学ではなく物の道理です』
○薬を飲んでいない状態で、LDLが低くても、LDLが高くても、動脈内のプラークの程度はほぼ同じです。
(動脈硬化の未来祝 153))
○プラークを減らせば、血圧は下がりますが、薬で血圧を下げてもプラークは減りません。
つまり、プラークが溜まるから高血圧になるのです。
(高血圧が原因で動脈硬化になる・・ではありません)
(動脈硬化の未来祝 2))
○つまり、薬で高血圧を治療しても、プラークは減りません。増える一方です。
(血管を流れる成分はそのままで、血圧(水圧)を下げてもプラークが減る道理はありません)
『目覚めましょう』
2004年以前の論文やガイドラインを、いつまでも信じ過ぎるのは止めましょう。
数日前、クリニックを開業して13年目の59歳の医師が、突然・・心筋梗塞で永眠されました・・・
昔、10年間も一緒に仕事していた非常に優しい後輩Drでしたので、非常に悔やまれます。
この記事を閲覧できた方が、責任ある身体になったなら、多額の『生命保険』に加入して安心するのではなく、せめて頸動脈エコー、できれば『8カ所の血管エコー』を受けて脳・心血管系の危機管理をされることを強く推奨いたします。
胃ガン・大腸ガンで死なないためには、定期的な胃内視鏡や大腸内視鏡を受ける必要があります。
脳梗塞・心筋梗塞で死なないためには、定期的な血管エコーを受け、RAP食を理解する必要があります。
<--レオナルド・ダ・ヴィンチ-->
“ ちっぽけな確実さは、大きな嘘に勝る ”
“ 視覚は数学の様々な部門を支配する。視覚による知識は最も確実なものだ ”
2024年6月30日 記載
真島消化器クリニック
真島康雄