脳梗塞・心筋梗塞の予防法

「塩無添加煮干し」摂取開始から3ヶ月で、骨密度が顕著に改善したと思われる1症例。

2017年7月頃から「塩無添加煮干し」を推奨していますが、2020年5月以降はRAP食における必須の食品に格上げしています。

今回、「塩無添加煮干し」を食しないRAP食を開始し、1年半後に骨密度が低下したと思われる症例において、追加食品として「塩無添加煮干し」12g/日を毎日摂取したところ、3ヶ月後には急激に骨密度の上昇が認められた症例を経験したので報告します。

「今回の症例呈示に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」

『症例提示』

症例 62歳 女性
主訴:左眼視野の1/4が欠損(灰色で見えにくい)

他の症状:
こむら返り+++(1日に何回も、夜中も)、腰痛(++)、視力低下、高血圧(近医加療中)骨粗鬆症(某医大にて服薬中:1/6M 通院中)、軽度の睡眠障害、便秘傾向、
脂質異常症(高脂血症)(近医にてピタバスタチン(スタチン剤):コレステロール低下薬を服用中)

<現病歴>
2002年1月頃 高血圧にて降圧剤:アムロジピン(2.5)1T/d開始
2015年3月 左眼の右上1/7が黒く見えて視野欠損左網膜細動脈瘤にてレーザー治療
      治療後、灰色の視野欠損(見えにくい)となり、2020年2月でも同症状継続。
2015年4月頃 交通事故にて左右大腿骨、胸骨、肋骨骨折
2016年10月頃より、事故の後遺症が疑われる右腰痛(++)出現し持病となり、冬は毎年コルセット着用。便秘傾向(+).
2018年5月 健診にて高コレステロール指摘。近医よりピタバスタチン(1)1T/d開始
高血圧が進行にて、テルミサルタン(40)1/d 追加で開始
2019年1月 某大学病院にて腰椎の骨密度78%(若年比)指摘受け、デノタスチュアブル配合錠2T/dの開始(ただし、1/6M通院なので、便宜上、3ヶ月服用/3ヶ月休薬でフォローとなる)
2020年2月中旬 当院初診

<治療>
1)RAP食 開始
2)EPA製剤1800mg/d+ラックビー微粒N,2g,2x開始
3)ピタバスタチン(1)1T/d 中止
(ピタバスタチン=コレステロール低下薬であるスタチン剤)

<結果>
1)プラークに関して・・・

写真1の解説

初診(2020年2月)以降
右大腿動脈プラークは、1.46mm(2020/2)→1.33mm(2021/9)→1.03mm(2022/9)
左大腿動脈プラークは、2.43mm(2020/2)→1.84mm(2021/9)→1.61mm(2022/9)
へ、順調に退縮した。

2)症状に関して・・・

図1の解説

『RAP食開始後の主な症状に関して』

  • 高血圧・・・・4ヶ月目(2020/6)には明らかに低下した状態になる
  • こむら返り・・・6ヶ月後までには消失
  • 睡眠障害・・・当初は熟睡感がなかったが・・6ヶ月頃までには消失
  • 右目の視野障害・・・網膜細動脈瘤レーザー治療後、当院受診までの5年間も改善しなかった灰色の視野欠損が、RAP食開始から1年4ヶ月後には随分改善し、1年10ヶ月で完全に治癒状態になった。
  • 腰痛・・・受診から6ヶ月後までには腰痛が消失・2020年、2021年の冬にコルセット不要に・・・・2022年の台風の際に、重いもの抱えて・・やや再燃
  • 視力・・・・初診時 裸眼視力 R=0.6 L=0.5 ・・・・・2年7ヶ月後・・・R=1.0 L=0.7 に改善
  • 骨密度・・・大学病院からの骨粗鬆症の治療薬:デノタスチュアブル配合錠で78%-→89%まで回復していた骨密度が、RAP食開始から1年4ヶ月後には骨密度が79%まで低下。2021年9月に「塩無添加煮干し」12g/日を追加で開始したところ、3ヶ月後の2021年12月には90%までに回復、2022年6月には92%までに骨密度が上昇。なお、2021年9月〜2021年12月の期間はデノタスチュアブル配合錠の服用なし。

3)服薬に関して・・・

図2の解説

『服薬の推移』

  • アムロジピン(2.5)1T/d・・2002年1月頃から服用開始・・・2022年9月以降も継続
  • テルミサルタン(40)1T・・・2018年5月から服用開始・・・2021年6月に中止(血圧低下して)
  • スタチン:ピタバスタチン(1)1T/d・・・2018年5月から服用開始・・・2020年2月に中止。
    (スタチン中止前のLDL=115 、中止後、LDLは現在まで160前後で推移)
  • EPA製剤1800mg/d・・・当院初診の2020年2月から服用開始・・・2022年9月以降も継続
  • ラックビー微粒N,2g,2x/d・・当院初診の2020年2月から服用開始・・2022年9月以降も継続
    (腸内環境改善が主たる目的 ラックビー微粒:ビフィズス菌製剤)
  • デノタスチュアブル配合錠(沈降炭酸カルシウム+VitD3+炭酸マグネシウム)2T、1x(朝)/d・・・
    2019年1月から服用開始・・・2022年9月以降も継続中。
    (1/6M通院なので、服用開始当初から・・3ヶ月服用/3ヶ月休薬のパターンで服用継続)

4)特に骨密度に関して・・・

下の図3をご覧ください

図3の解説

  • RAP食開始から1年間は骨密度の低下は認められず、1年半後に急激に骨密度低下するも、「塩無添加煮干し」12g/d開始から3ヶ月目には、骨密度が急激な改善を認めた。

<考察>

  • RAP食は、現代人にとっては低脂質食なので、心理的に肉類を控える方が多く、そのために低タンパク食になりがちで、採血でもアルブミン値が低下する傾向にあります。
  • 一般的に、高タンパクの食品にはP(リン)が多く含まれていますので、RAP食ではP不足が生じて骨密度が低下する可能性を否定できません。
    (現在では、肉類のタンパク質や枝豆・豆腐などの大豆食品の制限はしていません)
  • 2021年9月〜「塩無添加煮干し」12g/dを開始し、2021年12月には骨密度が90%へ改善したが、この期間は大学病院からの骨密度のお薬(デノタスチュアブル配合錠)は休薬期間であったので、今回の骨密度上昇に関しては、「塩無添加煮干し」12g/dの単独の効果と考えられた。
  • 今回の著効が得られた背景には、大学病院にて処方された薬剤が、破骨細胞の働きを抑制する薬ではなかったことが幸いでした。破骨細胞と骨密度に関しての詳細は(動脈硬化の未来塾 132))に掲載。
  • RAP食に「塩無添加煮干し」を導入した理由は、免疫活性を高める目的でした。脊椎動物である人類の免疫細胞は、腸管において、腸内細菌叢の生命活動で産生される物質(腸管内の内容物に含まれる成分)によって活性化されていると考えられます。

    そこで、同じ脊椎動物である煮干しの腸管内容物を食べるのがRAP食の主たる目的でした。

    しかし、一方で「塩無添加煮干し」にはVit D, Vit B12、鉄、リン、マグネシウム、たんぱく質などが豊富に含まれており、骨密度の上昇・貧血の改善も副産物として期待されます。
  • 難治の腰痛が改善したことに関して、RAP食にて股関節痛が消失した症例(動脈硬化の未来塾 101)も認められるので、全身の動脈のプラークの減少に伴い、関節内の軟骨部分の血液循環が改善し、治癒機転が促進したものと考えられます。
  • 視力改善に関して・・RAP食で視力が改善した症例(動脈硬化の未来塾 105)) (動脈硬化の未来塾 125)も存在するので、プラークが改善し・・つまり・・動脈硬化が改善し・・網膜動脈・静脈の血流も改善し、視力が改善したものと考えられます
  • 網膜細動脈瘤に対するレーザー治療後の難治性の視野欠損が完治した件に関して・・RAP食は網膜動脈・静脈の血流が改善し、自然治癒力が更新し、障害された組織の修復に貢献したものと考えられます。(動脈硬化の未来塾 123)) (動脈硬化の未来塾 71)

<まとめ>

  1. 「塩無添加煮干し」を併用しないRAP食では、骨密度が低下する場合がある
  2. 「塩無添加煮干し」を必須とした現在のRAP食によって、骨密度が急速に改善した症例を確認できたことは、安全な動脈硬化治療への大きな前進と考えられる。
  3. 原因不明の視力障害や、動脈プラークが関係していると考えられる網膜静脈閉塞症・網膜動脈閉塞症・網膜細動脈瘤・加齢黄斑変性などの場合、基本的な食事療法として、RAP食は有益と思われる。

 

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・・つぶやき・・・

レオナルド・ダ・ビンチの言葉
『あらゆるものは、他のあらゆるものと関連する。』

2022年10月19日記載
真島消化器クリニック
真島康雄

 


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