脳梗塞・心筋梗塞の予防法

サバ缶・納豆・ナッツ・チョコなどの毎日食が、頸動脈狭窄症の原因と考えられた1例。

“健康にいいはずの食品”が・・実は“健康を害している”という現実が・・頸動脈エコーの普及とともに・・国内でも海外でも明らかになりつつあります。

特に肥満、糖尿病の方が増えるに従い、目先の結果が出やすい“糖質制限”に走る人々が数年前から増えています。

“糖質制限!”にこだわれば、必要なカロリー摂取のために“脂質過剰”に陥ります。・・・その付けが動脈プラーク肥厚(動脈狭窄)という形で現れ、突然死増加の一因にもなっていると考えられます。

このような状況で、現代医学は“薬”でコレステロールを下げて動脈硬化を防ごうとしていますが、極めて困難な状況です。

今回、脂質過剰の食習慣によって頸動脈狭窄症になったと思われる症例で、RAP食による食習慣の改善によって動脈硬化(プラーク)が明らかに改善した症例を経験したので、ここに報告します。

「今回の症例呈示に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」

<症例. 61歳 男性>

家族歴:父:84歳時、心筋梗塞で他界

<食歴>:

  • 1998年8月頃から 納豆を毎日1〜2個摂取。→2018年9月まで20年間継続
  • 2008年8月頃から つまみとして、ミックスナッツを毎日片手1杯。→2018年9月まで10年間継続
  • 2012年2月頃 日中の右側への“ふらつき”が2回発生。脳MRI=異常なし。
  • 2014年頃から 板チョコ半分/日…毎日。→2018年9月まで、4年間継続
  • 2017年10月から 亜麻仁油orエゴマ油orオリーブオイル 大さじ1杯毎日摂取。→6ヶ月間継続。
  • 2018年1月から サバ缶(水煮)半分/日+サバ1切れ(or サンマ一匹 or イワシ2匹)開始→2018年8月まで毎日摂取を、7ヶ月間継続。
  • 2018年7月 LDL=163 TG=101 HDL=79
  • 2018年8月初旬 奥様が当院ホームページを閲覧。
  • 2018年8月中旬 近医:循環器内科受診 左頸動脈プラーク=2mm の指摘受け、スタチン剤処方あるも断り、エパデールSの処方をお願いしたがダメで、“いっぱい叱られた”とのこと。
    食習慣に関する問診はなかった。
  • 2018年9月 他院にてエパデールS(900)2P,2xを処方していただく。

<アルコール歴>:

  • 2015年まで 毎日、ビール1000cc+焼酎ロック1-2杯orワイン1本
     それ以降2018年9月までは、毎日、ビール1000cc+焼酎1合。

◎2018年10月  当院初診

  • 食の好み;甘いもの:好き、 肉:好き、 野菜:大好き、 魚:大好き、 揚げ物:好き
  • 食習慣点数=933点(極めて高値) 
    (「脳梗塞・心筋梗塞・高血圧は油が原因」(幻冬舎)2018年を参照)
  • 症状数ヶ月前から“朝のフラー感”がほぼ毎日あるとのこと。
  • 初診時の服薬:エパデールS(900)2P,2x のみ
     

<治療>:
○ RAP食開始
○ 服薬:

  • クロピドグレル(25)2T,1x-開始
  • エパデールS(900)2P,2x-継続
  • ラックビー微粒N,2g,2x-開始

 

<経過&結果>

写真1

< 結果 >:

  • 2020年8月プラーク退縮中です「5.08mm(50.0%狭窄)→3.61mm(38.3%狭窄)」。
  • 朝のふらつき症状:消失

<考察>:

図1

<コメント>:

  • 免疫抑制剤としての側面もあるスタチン剤(コレステロール低下薬)は、薬理学では“ミトコンドリア毒”であることが知られており、マクロファージのエネルギー源であるミトコンドリアに対しても毒になります。
    『スタチン(コレステロール低下薬)は、動脈硬化や心不全を促進する:薬理学的メカニズム Okuyama H, et al. Expert Rev Clin Pharmacol 2015; 8(2):189-99 』。

    一般に、スタチン剤は薬理学的には細胞毒と考えられています。

    つまり、心筋細胞・肝細胞・脳細胞・筋細胞やプラークを貪食する血管平滑筋細胞やマクロファージにとっても、“薬”ではなく“毒”になります。

    科学的に考えると、スタチン剤は、免疫細胞(マクロファージ)がプラークを減らそうとする献身的な貪食・消化・分解・排出作業を・・横から邪魔する薬とも言えますから、スタチン剤を飲むのはいかがなものでしょう。


<**つぶやき**>

新型コロナによる自粛によって、外食が極端に減ってプラークが改善した方がおられます。

本例は、脂質過剰な食習慣によってプラークが悪化したと考えられます。
食習慣の問診を受けないで、スタチン剤だけ処方していただいて・・薬でLDLなどは間違いなく下がるでしょうけど・・、はたしてこのような方が快方に向えるでしょうか?
結果は逆だと思います。(動脈硬化の未来塾 68))。(動脈硬化の未来塾 52)。

LDL値を動脈硬化治療の目標にし、薬でLDLを下げる・・下りが悪ければ強い薬に変え、あるいは追加の薬を処方する・・・とても単純で明快な診療ですが・・それで本当に喜んでいいのでしょうか?

臨床の医師も、看護師さんも、栄養士さんも、患者さんも・・今までは・・プラークの原料はLDLだから・・「LDLが下がっている場合は安心だ」と思い込まされていました・・でも、現実には「食習慣で動脈硬化は進行する」・・やっとこの数年で・・・この悲しい事実・現実に直面していることに・・血管エコー結果によって気付く人が・・世界中で増加中です。

レオナルド・ダ・ヴィンチ
“知恵は経験の娘である”

2020年8月31日 記載
2020年9月6日 修正して掲載
真島消化器クリニック
真島康雄

 


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