脳梗塞・心筋梗塞の予防法

20年来の脂漏性皮膚炎が、RAP食によるプラーク退縮と共に、完治した1例

40歳以降に発症しやすい・・長年治らない“脂漏性皮膚炎”(脂漏性湿疹)も・・動脈硬化(プラーク肥厚)を改善させるRAP食で、完治できるかもしれません。

“脂漏性皮膚炎”という病気は、命を左右する病気ではありませんが、本人にしてみれば・・悩みのタネ・・として、切実な問題です。

・・根治する期待や希望も乏しく・・10年以上にわたり・・ステロイド軟膏剤でごまかし、ごまかし・・そのような対症療法が長く続きます。

原因として、高脂肪食の食習慣も挙げられています。

今回、
RAP 食によってプラークが退縮し、それに伴って20年来の“脂漏性皮膚炎”が完治した症例を経験したので供覧します。

「今回の症例呈示に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」

<Case. 1:76歳 女性>
『20年来の脂漏性皮膚炎が、RAP食によるプラーク退縮と共に、完治した1例』

<主訴>頸動脈の壁肥厚

写真1

『プラークの経過』左総頸動脈
写真1 のごとく、初診時から・・徐々に、確実にプラークが退縮中。

写真2

『プラークの経過』 右大腿動脈
写真2のごとく、初診時から・・徐々に、確実にプラークが退縮中。石灰化の体積が少しずつ減少していることにご注目ください。生物の体には、障 害の原因が排除されれば、その障害を元に戻す力が・・強く働くという・・メカニズム が備わっている。・・と、いう証拠です。(動脈硬化の未来塾 82))

<現病歴>
下の(表1)を供覧。

表1

表2

(当院受診までの経過)

  • 1999年頃から“両耳の後ろ”に、やや痒みを伴う湿疹ができて・・副腎皮質を塗ると
    2-3日で良くなるものの・・しばらくして・・すぐに再発したりして・・軟膏を塗ることに。
  • 2009年12月 近医にて左総頸動脈IMT=1.1mm(壁肥厚)指摘-近医
  • 2010年12月 近医にて左総頸動脈IMT=1.1mm(壁肥厚)指摘-近医
  • 2013年10月 近医にて左総頸動脈IMT=1.0mm(壁肥厚)指摘-近医
  • 2014年4月 高コレステロール&総頸動脈のIMT がやや厚め(1.0mm)なので、
    近医より、ピタバスタチンCa(2)1T/日(スタチン剤)が開始になる。

     その後も5年間服用を継続。
  • 2018年2月 LDL=41 TG=42 HDL=83 --- スタチン剤服用中
  • 2019年4月 右股関節痛が出現し、その後も改善せず。
  • 2019年6月 当院:初診

 

<当院初診時の服薬状況>
ピタバスタチンCa(2)1T/日(スタチン剤)

<2019年6月 当院 初診>
(LDL=59 TG=52 HDL=83 BW=57.5Kg BMI=21.1)

<食の好み>
甘いもの:普通、肉:普通、野菜:好き、魚:好き(サバ、イワシなど)、揚げ物:好き。
酒類:20点 (女性としては多い)
食習慣点数=178点(良好な得点:得点は2018年4月出版の書籍を参照ください)

<2016年2月下旬 初診時の血管エコー>
8カ所の血管エコー(血管エコー実例・研究 1))
腹部大動脈IMT=2.64mm(A-max)
右鎖骨下動脈=1.12 mm(S-max)
右頸動脈分岐部〜内・外頸動脈:IMT=0.79 mm
左頸動脈分岐部〜内・外頸動脈:IMT=1.59 mm (C-max)
右総頸動脈IMT=0.71 mm 左総頸動脈IMT=1.55mm(写真1)
右大腿動脈IMT=2.03 mm 左大腿動脈IMT=2.04 mm(F-max)(写真2)
******脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル= 3(0〜4)****** T-max=7.39mm

<治療>
RAP食を開始し、
1)エパデールS(900)2,2x 開始
2)ラックビー微粒N(ビフィズス菌製剤), 2g, 2x 開始

・ピタバスタチンCa(2)1T/日(スタチン剤)→中止

<結果>
1)『左総頸動脈プラークの経過』(写真1)

写真1に、左総頸動脈プラークの推移を掲載しましたが、詳細は以下の通り。
  • 2019年6月 初診時:・・・・左総頸動脈プラーク=1.55mm(写真1 上段左)
  • 2019年10月4ヶ月後・・・・左総頸動脈プラーク=1.44mm (写真1 上段右)
  • 2020年2月8ヶ月後・・・・左総頸動脈プラーク=1.35mm(写真1 下段左)
  • 2020年6月1年後・・・・・左総頸動脈プラーク=1.31mm (写真1 下段右)

プラークは順調に退縮を継続中。

2)『右大腿動脈プラークの経過』(写真2)

写真2 に、右大腿動脈プラークの推移を掲載しましたが、詳細は以下の通り。

  • 2019年6月 初診時:・・・・右大腿動脈プラーク=2.03mm(写真1 上段左)
  • 2019年10月4ヶ月後・・・・右大腿動脈プラーク=1.84mm (写真1 上段右)
  • 2020年2月8ヶ月後・・・・右大腿動脈プラーク=1.76mm(写真1 上段左)
  • 2020年6月1年後・・・・・右大腿動脈プラーク=1.60mm (写真1 下段右)

プラークは順調に退縮を継続中。

3)『脂漏性皮膚炎の経過』(表1)

  • 1999年6月頃より・・両耳の後ろに脂漏性皮膚炎(湿疹)が生じ・・掻痒もあったの で・・副腎皮質ホルモン剤の軟膏をいただき、軟膏を塗ると2〜3日で治るが・・すぐ に再発して・・また軟膏を塗る状況続く。
  • 2004年頃には、皮膚科を変更して受診するが、やはり副腎皮質ホルモン剤を塗っ ての対症療法が延々と続く。
  • 2019年6月 当院受診、RAP 食&EPA 製剤, ビフィズス菌製剤の服用開始。
  • 2019年10月 馴染みの美容室で“耳後ろの湿疹”が治っているのを指摘される。
  • 2020年6月 現在も“脂漏性皮膚炎”の再発は見られない。根本的に完治状態。

『右股関節痛の経過』(表1)

  • 2019年4月・・右股関節痛を発症。とくに、坂道の登りや車から出る際に痛みをひ
    どく感じる。その後も症状改善せず。
  • 2019年6月 当院受診時も症状は変わらず。
  • 2019年8月 RAP食開始から2ヶ月後、股関節痛は消失。根本的に完治。
     股関節痛が治った他の症例もご覧ください(動脈硬化の未来塾 101))

『肩こり』(表1)

<考察>

  1. 脂漏性皮膚炎(湿疹)は、成人の場合、40歳以降に発症し、頭皮・鼻や頬・耳の
    後ろなどの皮脂の分泌が活発な部位に出現することが多く、軟膏で軽快しても
    すぐ再発を繰り返し、いつ終わるともなく、何年も続くとされています。

    原因としては、皮脂腺の分泌が活発な場所ですから、高脂肪食や肉食中心の食
    生活も原因として考えられています。

    本例は肉の好みは普通ですが、魚が好きで、脂ののった“サバ”や“イワシ”を好 んで食べられていました。肉の脂も、魚の脂もほぼ同じ影響が出ることは既に報告済みです。 また、アルコールの量もやや多過ぎました。

    また、他の61歳女性の自験例ですが、 “両耳の後ろ”の脂漏性皮膚炎が2-3年前から治らずに悩んでおられましたが、プラーク退縮がわずか0.14mm にも関わらず、“両耳の後ろ”の脂漏性皮膚炎は完治しました。

    つまり、“両耳の後ろ”の脂漏性皮膚炎の治癒に関して、血管プラーク退縮が直接関与しているのではなく、RAP食という昔ながらの比較的低脂肪食が直接的に関与しているものと考えられます。

    このことは、RAP食が・・・現代の不健康な乱れた食習慣を是正し、増えてきている様々な現代病を・・未病のうちに・・・・治しているとも考えられます。
  2. 5年間も飲み続けたスタチン剤は、有効・有益だったのか?
    この答えは表2を参照いただければ一目瞭然です。


スタチン剤を服用していなかった・・・
2009年〜2013年までの4年間・・・左総頸動脈プラークは1.1〜1.0mmで安定。

しかし、

スタチン剤を服用していた・・
2014年〜2019年までの5年間・・・左総頸動脈プラークは改善するどころか・・ 1.55mmまで・・逆に悪化(動脈硬化が進行)。

このプラーク悪化の判定に関しては、頸動脈エコーを行った施設と術者は異なりますが、それぞれのIMT の数値は、測定誤差の範囲を超えており・・明らかにプラークは・・スタチン剤を飲み始めてからの5 年間に悪化したものと考えられます。

このような現象を説明できる症例や集計結果もご覧ください。
(動脈硬化の未来塾 52))(動脈硬化の未来塾 68))

<つぶやき>

真面目に・・しっかり薬を飲み・・LDLが下がったと褒められ・・・あるいは薬を飲んで
いなくても・・健診でLDLが低いからと褒められ・・・(絶対に褒めてはいけないの
に・・)

その結果・・・血管汚れが進行して・・・・突然に・・まったく予想もせず・・救急車のお世話になる人が・・世の中にはたくさんおられます。

心臓の血管が詰まれば心肺機能停止へ至ることも、脳血管が詰まれば脳死へ至る
こともあります・・・血管を見ないで生活するということは・・地雷のある野原を・・探知機なしで歩くようなものです。

世の中・・コロナに・・大きな関心が向いていますが・・もっと深刻な問題もあります

突然死!・・・調べてみました! 心臓の病気に関してのみですが・・。

総務省消防庁調べでは、平成30年度 全国の救急隊員が搬送した「心肺機能停止病者」数は127,018人であり、その内、一般市民が目撃した「心原性心肺機能停止病者数」は、 25,756人でした。
(平成28年度は、25,569人・・・ほとんど同じ数)

『2005年(平成17年)では・・同じ総務省消防庁調べで・・「心肺機能停止病者」数は109,461人で、
その内、一般市民が目撃した「心原性心肺機能停止病者数」は、17,882人でした。

なんと! この13年間で25,756/17,882=1.44倍に増えている。

原因は・・・高脂質食・低炭水化物食への傾斜を続ける日本人の食習慣に間違いありません。

2005年は日本人の脂質摂取は平均で53.9g、炭水化物摂取は267g 一方で、
2017年の脂質摂取は 66.8g、炭水化物は266g ですから、明らかに脂質摂取量が
増えています。
心筋梗塞が少なかったので、突然死も少なかった・・と、思われる昭和35年(1960年)の平均の脂質摂取は24.7g、炭水化物摂取は399gです。

RAP食を信じる人は・・糖質制限食・・を決して・・してはいけません。
突然死を・・・“自ら招く”・・結果に繋がります。

(動脈硬化の未来塾 39))、 (動脈硬化の未来塾 29))、
(動脈硬化の未来塾 46))、

興味あるのは、年を重ねると心原性心肺機能停止リスクが高くなりますが(下の表)、
各世代の比較で、

男性は・・・女性の3〜4 倍も心原性の心肺機能停止病(一般市民目撃)で救急搬
入されていることです・・

これはやはり、『男・女間のプラーク堆積状況の違い』で・・説明可能です。(当院ホームページ&書籍)・・生まれつきの異常でもなんでもありません。

(以下の表:消防庁調べ:2005〜2007年の3カ年の集計結果)

参考までに・・・

なんと、 今から13〜15年も前でさえ・・(2006〜2007年のデータの平均)

30代で・・年間平均・・1,240/3=413人も・・心原性心肺機能停止症例(一般市民目
撃)があり。
40代で・・年間平均・・2,366/3=789人も・・心原性心肺機能停止症例(一般市民目
撃)があり。
50代で・・年間平均・・5,833/3=1,944人も・・心原性心肺機能停止症例(一般市民
目撃)があり。
60代で・・年間平均・・9,333/3=3,111人も・・心原性心肺機能停止症例(一般市民
目撃)があり。
70代で・・年間平均・・15,008/3=5,003人も・・心原性心肺機能停止症例(一般市民
目撃)があり。
80代で・・年間平均・・15,154/3=5,051人も・・心原性心肺機能停止症例(一般市民
目撃)があり。

1ヶ月後の生存率は・・(2006〜2007年のデータの平均)
30代・・男性18.2% 女性 20.2%
40代・・男性15.6% 女性 17.9%
50代・・男性15.9% 女性 13.2%
60代・・男性13.5% 女性 10.1%
70代・・男性 7.7% 女性 6.6%
80代・・男性 4.9% 女性 1.5%

残念です・・これらの・・大半の人が、RAP 食で未然に助かったはず・・です。
8カ所の血管エコーを受けていれば・・ですが。

健康な日本人を減らさないことが・・RAP食で可能ですが・・・私のサイトに気付ける
人が・・依然として少なく・・・・もったいない話です。

“突然死”などに・・決してなって欲しくない人がおられましたら・・、ぜひ・・書籍「脳
梗塞・心筋梗塞・高血圧は油が原因」(幻冬舎)
2018 のご一読を・・お勧めいただけ
ればと存じます。

2020年6月30日記載
真島消化器クリニック
真島康雄

 


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