脳梗塞・心筋梗塞の予防法

頸動脈プラークの悪化例。単身赴任の2年間でこんなに溜まる(肥厚)。LDL・体重はプラークと無関係だった。

単身赴任直前:53歳・男性 体重81Kg BMI=27.1(肥満体型)、糖尿病なし。
食の好み:肉と揚げ物が好き。野菜や魚も好き。
LDL=121 TG=104 HDL=37 L/H比=3.27

2010年10月 無症状.。健康そのもの。最初の図は単身赴任直前の8カ所の血管エコーです。

写真のごとく、大腿動脈に血管プラークが厚く堆積し、脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=4 (0〜4)と説明。

今までもたびたび単身赴任生活をされていた。

脳梗塞のリスクが大きいとの説明にも、過去の薬(スタチン系)の副作用の経験から、血液サラサラ薬を服薬することに同意を得られませんでした。

2011年1月〜単身赴任生活が始まる。

2011年8月 朝、急に生汗と気分不快感が出現。2週間後にも同症状出現。

・・プラークの状況から、脳梗塞の前兆症状と思われます・・
最寄りの医院に血管エコーの状況を説明し、サラサラ薬2種を開始していただくこととした。それ以降に症状出現なし。

さらに食事の量を減らして、体重も81Kgから69Kg (BMI=23.1)へと減少。

2012年10月 2年ぶりの血管エコーを施行(2枚目写真)。

左頸動脈プラークが2年間で0.4mmも肥厚し、右頚動脈も0.2mm肥厚していた。この時の採血ではLDL=99 TG=54 HDL=46 L/H比=2.15
(2年前より、LDLとTG(中性脂肪)が低下し、HDLは上昇していた)

症例のまとめ

1)LDLは高くなく、むしろ低下したのに頸動脈プラークは2年間で0.4mm肥厚(動脈硬化:進行)した。

「LDLは、実は全身の動脈の血管の脂汚れの程度とは無関係に近いのです(既に掲載済み)」

2)HDLは上昇し、L/H比も低下したのに頸動脈プラークは肥厚し進行(動脈硬化:進行)した。

「HDLが上昇したので安心している人はいませんか?・それは間違いです(既に掲載済み)」

3)体重は最近の1年間で12Kgも落としたのに動脈硬化は進行していた(頸動脈プラーク肥厚)。つまり、体重は急に落とせても、血管の“脂汚れ”であるプラークは急に落とせない。あるいは、体重は減少しても,食事の内容次第で血管プラークが悪化したと考えられます。

「体重減を目指したダイエット(劣化脂質に無頓着な糖質制限食)は大間違いで、健康の物差しは血管プラークにするべきです(参照1)」

「血管プラークを見ずして、体重だけで健康を論ずるべきではありません」

「洋風肥満は和風肥満より10倍も脳梗塞・心筋梗塞になり易い(参照2)」

「洋風普通体重は和風肥満よりも8倍も脳梗塞・心筋梗塞になり易い(近日データ掲載)。つまり、洋風の食習慣でごはんをあまり食べないスマートな人は、健康そうに見えても、和食でごはんを多く食べて太った人よりも早く倒れるのです」**T-maxと食習慣点数からの結果からですから、疫学調査より遙かに科学的な真実なのです**

4)単身赴任中(好きな食べ物に偏る)での食習慣の質(カロリーではなく・糖質でもなく)の違いにより、動脈硬化が驚くべき速度で進行した。

「肉や揚げ物・油炒めを多く食べると“焼け石”になり、野菜を多く摂ることや運動すること、寝る前にコップ1杯の水を飲むなどの行為は “焼け石に水”なのです」

「主食のごはんを控えても将来の健康のためにはなりません。炭水化物と見下されていますが、実は脂質が非常に少なく、アミノ酸を豊富に含む良質の蛋白質源なのです」

5)単身赴任の2年間で頸動脈のプラークが0.4mmも肥厚・・。これは平均的な男性の10〜15年分の寿命短縮に相当します(参照3)。

6)「単身赴任は命を縮める」・・と言われることがあります。本人が肉好き、揚げ物好きなら4年間でプラークが0.8mmプラスされますので、寿命が25年から30年も短縮する計算になります。

単身赴任が6年間なら、プラークが1.2mmプラスされ、寿命が40年も短縮する計算になります。

単身赴任が10年間なら、プラークが2.0mmプラスされ、寿命が50年以上も短縮する計算になります。

肉や揚げ物好き・油炒め好き・甘いもの好き・アルコール好き・などのいずれかに当てはまる単身赴任者は、40代・50代前半で心筋梗塞・脳梗塞にて普通に倒れる計算になるのですが、実状とそんなに違わないと思います。

肉や揚げ物などを好む若年者の心筋梗塞・脳梗塞(参照4)が増えている現実が手に取る様に理解できたことでしょう。

犯人は若者の口から易々と侵入しているのです(参照5)。

単身赴任者が特に注意すべき点は、

「野菜好きで野菜をたくさん摂っているから安心。」・・とか・・
「運動しているから安心。」
「タバコ止めたから安心。」
「血圧が薬で安定したから安心」
「心電図では異常なしだから心臓は安心」・・など・など・・と考えるのは“大間違い”であり、“常識の誤り”なのです(既にサイト掲載済み)。・・今の健康常識は、血管プラークが明瞭に見えない時代の“常識”なのです。

また、「MRI:異常なし」で安心することも極めて危険な事なのです。MRIは血管内の汚れ具合を詳しく見られる定量的な検査ではありません(参照6)。

今回の症例は、脳梗塞の前兆症状が出る3ヶ月前に職場健診を受けられていますが、特別な指摘はありませんでした。

まとめ

ネット検索では、単身赴任者が急に心筋梗塞や脳梗塞で倒れる事例が何と多いことか!!。

食と血管プラークとの関係(参照7)を知らないことは悲しく、恐ろしいことです。

健診を受けても、一番知りたい全身の血管内の“脂汚れ”を知らされていないことが不幸の始まりです。

単身赴任者は、赴任前に全身の血管エコーを受け、プラークを減らす食事に心がけましょう(参照8)。

8カ所の血管エコー検査(参照9)を受けた方は、健康に自信を持てるようになります。

なるべく早くご相談下さい。

追記:「脳梗塞・心筋梗塞にならない食べ方」の項目の内容は、食事とプラークの関係の研究結果を踏まえて修正していますので、ご確認下さい。最終内容修正2012/10/26です。

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