脳梗塞・心筋梗塞の予防法

頸動脈プラークが改善し、不整脈・狭心症などの動脈硬化の症状が消失した1例。

以前から、動脈硬化(プラーク)の進展が原因で、不整脈(期外収縮)が出現し、さらに進展することで高血圧・心房細動などの発症リスクが高まることは・・すでに科学的に証明済みです。
(動脈硬化の未来塾 40))

したがって、プラークを改善させて不整脈や高血圧を根本的に治療できれば、将来の心房細動や様々な種類の脳梗塞も予防可能と思われます。

今回、当院において
悪い食習慣がもたらす・・・プラーク悪化による、不健康への“悪のスパイラル”ではなく・・・
良い食習慣(RAP食)がもたらす・・・プラーク退縮により、健康へ向かう“善のスパイラル”・・・
(動脈硬化の未来塾 7))・・へ・・導くことが可能であった1例を経験したので報告します。

「今回の症例呈示に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」

症例 64歳 男性
(写真1)

<症例の概略>
2010年5月頃 BP=150〜160/--指摘され、1週間だけ降圧剤服用(自己中断)
2012年2月  高脂血症指摘される
2016年10月 心電図で期外収縮指摘
2017年6月  期外収縮頻度増加にて・・ビソプロロールフマル酸塩錠(2.5)0.5T,1x 開始
2017年7月  睡眠時無呼吸(SAS)指摘受け、睡眠時の無呼吸回数が20〜25回以上で
         CPAP開始
2018年2月 冠動脈CT—冠動脈狭窄指摘+ にて、スタチン剤+血液サラサラ薬の服用を勧められたが本人の意思で断る。
2018年7月 心カテやステント治療を提案されたが・・返事保留し、1/1〜2ヶ月の診察(3分間連続の心電図検査)&投薬治療(ビソプロロールフマル酸塩錠(2.5)0.5T,1x のみ)は続行。

2019年1月 当院受診(初診)
主訴:動脈硬化を治したい
症状:期外収縮、安静時狭心症、2〜3年前から下半身の冷感、4〜5年前からこむら返り(1回/月)、2017年からのSAS、たまに一過性黒内障、高血圧 BP=156/86 。
8カ所の血管エコー:
腹部大動脈IMT=5.12 mm
右鎖骨下動脈IMT=3.20 mm
右頸動脈分岐部IMT=2.01 mm
右総頸動脈IMT=0.83 mm
左頸動脈分岐部IMT=2.04 mm
左総頸動脈IMT=2.51 mm
*脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=4(0〜4)


(図1)臨床経過(プラーク退縮による症状消退の実際)

<治療>
・初診時より、動脈硬化治療に関して
1. エパデールS(600)3P、3x開始
2. ラックビー微粒N,2g,2x開始
3. RAP食指導

<臨床経過>(図1参照)
2019年1月 初診  BP=156/86

・2019年5月 5年前から、運転中などに起こり始めていた “こむら返り”(1回/月)が消失。BP=150/70

・2019年7月 当院受診までは、月に1〜2回の安静時狭心症:“安静時の胸の締め付け感”(数分間)があったが、その出現頻度が極端に少なくなり、持続時間も1〜2分と短く、強さも2/5程度に軽くなる。BP=144/84

・2020年5月 安静時狭心症が3ヶ月に1度と、頻度が1/3になり、強さも1/5に弱くなり、持続時間も1/3以下になった。BP=124/70

・2020年5月 毎月の心電図検査(3分間)で、期外収縮が少なくなり、不整脈薬(ビソプロロールフマル酸塩錠(2.5)0.5T,1x)が中止になる。

・2021年5月 安静時狭心症:治癒….以降に狭心症の出現なし。BP=132/80

・2022年4月 不整脈の症状(期外収縮)・・・1/月の3分間連続の心電図検査で・・不整脈出現(―)・・担当医からは・・不整脈がなかったことについて・・「たまたまでしょう・・」と言われたが・・・この時以降・・・2022年12月まで・・心電図検査では不整脈を検出せず。BP=130/60

・2023年1月 初診時頃の睡眠時無呼吸:睡眠時間内に 20回以上が・・・4〜5回に減少。
 BP=142/82 初診時以前と比較して、最高血圧が145を超えることがなくなった。


<考察>
・心臓の冠動脈や脳動脈以外の部位の動脈プラークを退縮させることができたので・・・おそらく冠動脈や脳動脈のプラークも退縮し、心臓に対する負荷が軽減し、“不整脈”や“狭心症”が消失(根本的な治癒)したものと考えられます。あまり気にかけていなかった血圧も低下。

また、おそらく
脳動脈のプラークも退縮し、脳動脈の血流量がアップし、脳のストレスが低下し、その結果として“睡眠時無呼吸”が改善したものと考えられます。

また、おそらく
筋肉を栄養する動脈のプラーク退縮の結果、筋肉内での動脈の血流量がアップし、筋肉のストレスが低下し、“こむら返り”が消退したものと考えられます。

また、おそらく
全身の動脈の内側のプラーク(血管脂汚れ)が減少し、血流がスムーズになり、「心臓がポンプの出力を落としてもいいと感じ取り・・出力を下げた」・・おかげで、血圧が低下したものと考えられます。

・動脈硬化は、通常は改善することはなく進展あるのみですが、今回の症例の各症状の消退は、“プラーク退縮による、健康へ向かう”逆スパイラル”が可能であることを実証した症例として興味深い。(動脈硬化の未来塾 7))の仮説(図)を部分実証していると言えます。

・RAP食(血管エコー・実例研究 29))は・・・健康だった・・若かった時代の血管へ戻れる・・・タイムマシーンかもしれません。

スタチン剤(コレステロール低下薬)には、 “動悸”や“筋肉痛”、“不眠症”、“抑うつ”などの・・・
副作用はあっても、
“不整脈”や“こむら返り”・“睡眠時無呼吸”・“高血圧”の改善などの・・・効果はありません。

それは、スタチン剤でプラークが減る(動脈硬化が改善する)ことがないためと考えられます。

<結論>
1)現代医学では、動脈硬化(プラーク)がもたらす不幸へのスパイラルを断ち切ることは困難。
2)スタチン剤を服用しないRAP食なら、プラーク退縮による、不幸から幸せへの”逆スパイラル”が期待できる。
              

2023年1月30日 記載
真島消化器クリニック
真島康雄

 


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