脳梗塞・心筋梗塞の予防法

当院での2023年1月からの新患連続11症例の詳細---その1

はじめに
プラークを計画的に治せる医療が存在するという事を、視覚を根拠として知っていただくために、 動脈硬化の未来塾148)に掲載した症例の詳細を提示いたします。

今回は、症例1です。

「今回の掲載に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」

<症例1: RAP 食によるプラーク退縮治療の結果(4ヶ月後)>
写真1〜4を供覧

症例1の詳細

症例1:57歳 女性  住居:関東地方

<主訴>:
脳梗塞後に「脳動脈50%狭窄」と指摘された

<現病歴>:
2022年5月初旬 左手、中指、人差し指の動きが悪くなる。
右腕の痺れ感と冷感を自覚。
2022年5月中旬 症状悪化のため、脳神経外科病院受診し、MRIで右脳梗塞2カ所脳動脈狭窄あり。LDL=68 TG=50 HDL=58 L/H比=1.17 A1c=5.5 尿酸=5.6 血糖=88
・バイアスピリン(100)1+クロピドグレル(75)1T,1x+ランソプラゾール(15)1 を服用開始
2022年6月初旬 MRAにて、右脳動脈50%狭窄を指摘される。
2022年6月中旬 下痢++のために、全ての処方薬を中止。
2022年8月中旬 コロナに感染&療養
2022年12月初旬 当院をホームページで知る。

2023年1月初旬 当院受診
  体重46.5Kg BMI=17.1 BP=118/60 P=60(整) 医薬の服薬なし 糖尿病:なし
  症状:頭痛、右腕冷感&しびれ感、両下肢冷感、両足のこむら返り

<採血結果>
LDL=71 TG=48 HDL=51 L/H比=1.39 Alb=3.9g/dl Hb=12.3g/dl

<初診時の8カ所の血管エコー>
右頸動脈分岐部IMT=2.26 mm 他に2.21 mm
右総頸動脈IMT=2.37 mm
左頸動脈分岐部IMT=0.66 mm
左総頸動脈IMT=1.58 mm
右鎖骨下動脈IMT=3.08 mm
腹部大動脈IMT=1.88 mm
右大腿動脈IMT=2.86mm他に2.39 mm
左大腿動脈IMT=2.41mm
 脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル=3 (0〜4)

<食習慣点数>
428点

<食の好み>
甘いもの:大好き、肉類:大好き、野菜:大好き、揚げ物:大好き、魚:普通

<食歴>
○タバコ:20〜56歳まで10本/日、2022年5月の脳梗塞以降〜現在まで 3本/日
○酒類:焼酎お湯割4〜5杯を---1回/週
○植物オイル:アマニ油15cc/日飲用(12年間、野菜のスムージーに入れて)
○ヨーグルト:200gを週に2回摂取(20年間)
○玄米食:無農薬を15年間-3食で摂取 ○納豆:ミニサイズを週に3〜4個摂取

脳梗塞以降に始めた食習慣
●ナッツ類:アーモンド、クルミなどを3〜4粒/日―6ヶ月前から摂取
●酢液の摂取:芋酢15cc+水200cc/日―3ヶ月前から飲用
●クエン酸水+天然重曹―3ヶ月前から飲用

サプリメント:
○Vit C(2.5cc)+岩塩+水500cc の摂取

<治療>
○服薬を開始
・クロピドグレル(25)1T,1x
・イコサペント酸エチル粒状カプセル(600)3P,3x
・ラックビー微粒N,2g,2x

○RAP食指導 & 上記の過去の食歴・サプリメントの習慣を減回数〜中止するように提案

<治療結果>
○プラークの変化
・右頸動脈分岐部IMT=2.26→1.85 mm(4ヶ月でのプラーク退縮-写真1)
・右鎖骨下動脈IMT=3.08→2.79 mm(4ヶ月でのプラーク退縮-写真2)
・右大腿動脈IMT=2.86→2.45 mm(4ヶ月でのプラーク退縮-写真3)
・左大腿動脈IMT=2.45→2.15 mm(4ヶ月でのプラーク退縮-写真4)
・右大腿動脈IMT=2.39→2.24 mm(4ヶ月でのプラーク退縮)
・右総頸動脈IMT=2.37→2.31 mm(4ヶ月でのプラーク退縮)
・右頸動脈分岐部IMT=2.21→1.88 mm(4ヶ月でのプラーク退縮)

○身体的変化
・体重 46.5Kg→45.5Kg
・血中Alb 3.9g→4.1g (栄養状態は改善)
・血中Hb 12.3g→12.4g

○その他、食習慣など
・タバコの習慣 3本/日は初診から4ヶ月後も継続のまま。(中止〜減量が理想)
・無農薬玄米の3食摂取は初診から4ヶ月後も継続。

<この症例での教訓>
・LDLが低いからと、決して安心してはいけない。せめて、頸動脈エコーを受けましょう。 ・医師が勧めたとしても、巷の食に関する健康情報を信じ、血管エコーを受けないのは危険です。
・野菜が大好きでも、3食を無農薬の玄米食にしていても、それで健康は守れない。
・食習慣点数>>200点は、やっぱり危険。(各自の点数は当院の書籍でご確認ください)
・決して、体重は健康のバロメーターにはならない。 ・血圧が正常、糖尿病ではない、これらは健康を保証できる情報ではない。

<コメント>
少ない本数の喫煙でも、腸内環境が悪化に転じ、マクロファーッジの活性低下を来たし、長期の観察においては、今まで報告した症例のごとく、途中でプラークが悪化へ転じたりする場合が稀ではない。

本症例も、一部のプラークが退縮不良であり、何らかの単独あるいは複数の原因によって腸内細菌叢のバランスが健全ではない可能性が考えられ、将来的にプラークが悪化へ転じる可能性も考えられる。

<参考資料>
以下の表は動脈硬化の未来塾 148)に掲載の、症例一覧(表4)です。

**つぶやき**
最近、頸動脈エコーによる検査や健診が、やっと普及しだしたのか、頸動脈プラークを指摘されて来院される方の割合が増えてきました。

そして、よく質問を受けるのが「プラークって 本当に減りますか?」などです。

大きな病院の人柄も良く、信頼できる複数の先生に「プラークが治ることはない」「LDLがプラークの原因です」「LDLを薬で下げないと、近いうちに心筋梗塞・脳梗塞になりますよ」などと真剣に言われ続けると、

さすがに「プラークは治せます」と、継時的なエコー写真(決定的な視覚による証拠)を添えて発信していても、いかにも「怪しい医者」との評価を受けるのも納得できます。

ですから、ごく一部の方のみが、「藁をも掴む」思いで当院へ来院されているのでしょう。


- レオナルド・ダ・ヴィンチ -

“ 視覚は数学の様々な部門を支配する。視覚による知識は最も確実なものだ ”

“ ちっぽけな確実さは、大きな嘘に勝る ”

2024年3月24日記載
真島消化器クリニック
真島康雄

 


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