脳梗塞・心筋梗塞の予防法

脂肪0乳製品の過摂取により、短期間に急速にプラークが進行したと考えられた2症例

はじめに:
発酵食品は、古来より健康に良い食品の代名詞として使われ、現在も盛んにもてはやされています。納豆も発酵食品であり、その健康効果を誰も疑いません。
でも、納豆でも適量を過ぎれば、確実にプラークは悪化するということを既に突き止めています。(動脈硬化の未来塾 87))(動脈硬化の未来塾 88))

また、脂肪0ではない乳製品のヨーグルト400g/日の過摂取でも、プラークは急速に進行することも経験し(動脈硬化の未来塾 55))、この症例以降は、脂肪0の豆乳ヨーグルト(当時は販売中)や脂肪0の乳製品のヨーグルトを推奨した経緯があります。

でも、今回報告の症例1を経験してからは、メーカーによっては多少の違いはあるにせよ、脂肪0ヨーグルトの過摂取によると思われるプラーク悪化症例を現在までに122例経験するに至り、HP上に過摂取を厳に慎むように案内してきました(血管エコー実例・研究 29))

しかしながら、脂肪0ヨーグルト30〜40gの少量摂取を指導しているにも関わらず、外来通院中の患者さんであっても、毎日60〜130〜200g以上(あるいは週に1〜2回 100〜130g以上)を摂取 し、プラークを悪化させて来られる方が後を絶ちません。
 
今回は、脂肪0だからと・・脂肪0ヨーグルトを安心して食べられている方への警鐘になればと、報告いたします。

「今回の症例呈示に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」

<症例1.>
55歳女性

写真1

写真2

主訴:4年前から高脂血症指摘
現病歴:

  • 2014年 健診にて高脂血症指摘受ける
  • 2016年 両手痺れ+にて、脳外科受診、頭部MRIにて“頸椎狭いところがある“と指摘あり
    1ヶ月間の内服で軽快。

その後は服薬なし。

2018年10月下旬 当院初診

  • 脈70(整) BP=120/70 LDL=140 TG=120 HDL=81

8カ所の血管エコー

  • 腹部大動脈IMT=1.76mm
  • 右鎖骨下動脈IMT=1.55mm
  • 右頸動脈分岐部IMT=0.84mm
  • 左頸動脈分岐部IMT=1.23mm(写真2)
  • 右総頸動脈IMT=0.46mm
  • 左総頸動脈IMT=0.51mm
  • 右大腿動脈・横断IMT=2.25mm (写真1)
  • 右大腿動脈・縦断IMT=2.25mm (写真1)
  • 左大腿動脈IMT=2.51mm(写真2)

<治療>RAP食
エパデールS(900)2,2x+ラックビー微粒N,2g,2x―開始
(写真1)

<結果>
2019年2月上旬 
採血結果 LDL=105 TG=124 HDL=56
血管エコー

  • 腹部大動脈IMT=1.63mm(改善)
  • 左頸動脈分岐部IMT=1.42mm(悪化)(写真2)
  • 右大腿動脈・横断IMT=3.57mm(悪化)(写真1)
  • 右大腿動脈・縦断IMT=3.53mm(悪化)(写真1)
  • 左大腿動脈IMT=2.26mm(改善)(写真2)

2019年5月上旬
採血結果 LDL=116 TG=106 HDL=60 L/H比=1.9 RLP=3.8(正常≦7.5)
血管エコー

  • 左頸動脈分岐部IMT=1.36mm(改善)(写真2)
  • 右大腿動脈・横断IMT=4.24mm(悪化)(写真1)
  • 右大腿動脈・縦断IMT=4.11mm(悪化)(写真1)
  • 左大腿動脈IMT=2.24mm(変化なし)(写真2)

<食習慣に関して>

  • 食習慣点数=321点で高値。
  • 食の好みは、甘いもの:大好き、肉:大好き、揚げ物:大好き、魚:普通、野菜:普通。
  • 過去10年間は、毎日普通牛乳100ccを飲用していた。
  • アルコールは週に5回ほど、焼酎水割り2〜3杯程度を飲んでいた。
  • チョコを2〜3個、週に3〜4日食べていた。

<RAP食の摂取状況>
RAP食で脂肪0ヨーグルトを推奨していましたので、初診日以降は、脂肪0ヨーグルト(100g中の脂質0.4gの品:メーカーA)200gの毎日摂取を開始した。初診日までは普通牛乳を10年間も毎日100cc程度飲んでいたが、初診日以降は、脂肪0牛乳150cc(メーカーB)を毎日飲用へ変更した。(写真1)

初診日以降はアルコールを控えていたが、プラークが悪化したので、2019年2月からはアルコールは完全offにした。
なお、肉は豚のヒレ肉または鳥のムネ肉にし、魚もタラなどの脂質が少ないものにしていた。
プラークが肥厚した2019年2月からは魚介類は、イカ、タコ、エビだけにした。

<症例1の考察>
・上記の食習慣、食の好みから、初診時の右大腿動脈IMT=2.25mm  (写真1)
左大腿動脈IMT=2.51mm (写真2)は、10年間牛乳をまったく飲まなかったとしても、十分納得のできる状況だと思われます。

・この方の場合、10年間の毎日100cc程度の普通牛乳摂取はプラーク肥厚に関与していない可能性があります。
なぜなら、書籍「脳梗塞・心筋梗塞・高血圧は油が原因」(幻冬舎)P200に記載しましたが、女性の場合は、普通牛乳400cc以上を5年以上の期間、毎日飲用していた9名のT-maxの平均は6.57mmでしたが、牛乳をほとんど飲まない663名の平均T-maxはむしろ高く、6.88mm でした。(有意差なし)

男性の場合は、普通牛乳400cc以上を5年以上毎日飲用していた11名のT-maxの平均は12.04mmでしたが、牛乳をほとんど飲まない425名のT-maxは平均で9.66mm でした(有意差あり)。 男性の場合では、牛乳の毎日の400cc以上の飲用はプラークが肥厚します。 

**T-maxは全身のプラーク総量を表す指標ですが、詳細に関しては(動脈硬化の未来塾 31))参照。

・これらの食習慣の状況から、2019年5月時点での、驚くべきプラーク堆積の進行は、脂質摂取の過剰が原因だとは、決して考えられません。

「脂質摂取量を制限したのに、逆にプラークが短期間で進行したという事実」は衝撃的です。

当時は、見えない敵に遭遇しているような・・本能でしょうか、何か怖い感覚・・を覚えました。

・顕著なプラーク肥厚は、右大腿動脈のみで観察され、頸動脈プラークは軽微な変化のみ(写真2)で、左大腿動脈のプラークはむしろ退縮傾向にあった(写真2)という事実は、動脈硬化の悪化や改善の仕組みは数学では解決できない何か?が大きく関与していることを証明しています。

<症例2>
57歳男性(2019年9月当時)

写真3

2015年7月中旬 初診
採血結果 LDL=117 TG=183 HDL=76
右大腿動脈・縦断IMT=2.65 mm
左大腿動脈・横断IMT=1.35 mm
RAP食&エパデールS(900)2,2x、ラックビー微粒N,2g,2xで加療開始。

2017年12月中旬から、豆乳ヨーグルト(自家製)150gの毎日摂取を開始。

2019年9月中旬:  受診時は豆乳ヨーグルト(自家製)100g を1日置きに摂取中。
採血結果 LDL=104 TG=52 HDL=89
右大腿動脈・縦断IMT=1.89 mm (退縮中)
左大腿動脈・横断IMT=1.53 mm (やや悪化)

脂質摂取量を減らすために、ヨーグルトを脂肪0食品へ変更いただき、
具体的には、豆乳ヨーグルト(自家製)100g(隔日)を止めて、牛乳由来の脂肪0ヨーグルト(100g中の脂質0.2gの品:メーカーC)300gの毎日摂取へ変更されました

2020年1月中旬
採血結果 LDL=127 TG=54 HDL=83
右大腿動脈・縦断IMT=2.63 mm(悪化)(写真3)
左大腿動脈・横断IMT=1.69 mm(悪化)(写真3)

短期間に激しくプラークが悪化したので、結果を踏まえ、脂肪0ヨーグルト300gの毎日摂取から、35gの毎日摂取への大幅な減量を指導しました。(他の食習慣は、ほぼ同じ状況)

2020年5月中旬
採血結果 LDL=103 TG=39 HDL=94
右大腿動脈・縦断IMT=2.10 mm(退縮)(写真3)
左大腿動脈・横断IMT=1.53 mm(退縮)(写真3)
脂肪0ヨーグルト35gの毎日摂取中。(他の食習慣は、ほぼ同じ状況)

<結果>
・2019年9月以降の食習慣は全く同じ状況。
脂肪0ではない豆乳ヨーグルトを隔日で摂取中の期間は、プラークは退縮中であったが、
脂肪0ヨーグルト300gの毎日摂取へ変更したら、プラークが急速に進行し、
同ヨーグルトを毎日35gへ減量して摂取したらプラークが退縮した。(写真3)

<症例2の考察>
症例2においても、RAP食中なので、少ない脂質摂取量にも関わらずプラーク肥厚の進行を認めました。これは、単に脂質を制限した状態を維持していても、それだけではプラークが悪化する場合もあるという事実を物語っています。このことは、症例2が特別な症例ではないことを意味し、非常に重要です。

この事実からも、動脈硬化が進行するか改善するか(プラークの増減)は、単純計算では理解できない何かの力、ファクター“ x” が作用していると考えざるを得ません。

<総合的な考察>

・脂肪0ヨーグルトの過摂取によると考えられたプラークの悪化症例の122例を検討しました。

<対象・方法>
現在までの2年半に及ぶRAP食における、脂肪0ヨーグルト使用の臨床経験の集計です。

過摂取の量とは、世間一般では過摂取とは考えられていない摂取量:多くの症例は毎日80g〜200gの摂取量であり、毎日300g〜400gの摂取量の例や、週に1〜2回でも100g以上を摂取した症例を含む。

<その結果>
1)脂肪0ヨーグルトの減量摂取を指導した122例中、92例(75.4%)は減量摂取にてプラークが退縮に転じた。(多くの症例が、1日摂取量を30〜40〜50gへの減量を行なった後に、やっと退縮に転じた)
2)15例(12.3%)は減量摂取にてもプラークは退縮に転じなかった。
3)12例(9.8%)は、その後の受診なく、経過をフォローできなかった。
4)3例(2.4%)は観察期間中に減量指導を守れていなかった。

<結論>
脂肪0ヨーグルトの過摂取によると考えられたプラークの悪化症例の122例において、
『脂肪0ヨーグルトの減量指導を守れて、経過を追えた症例107例中の92例(86.0%)において、プラークが退縮に転じた。』
やはり、プラーク悪化の原因は、脂肪0ヨーグルトの過摂取が主な原因と考えられた。

・上記の結果の理由として、腸内フローラの乱れによるマクロファージ貪食能の低下だろう(?)と考え、深い考察には至りませんでした。

・しかし、ある患者さんに、
「“脂肪0ヨーグルトは遠心分離して作るから、作成方法で残留する脂肪酸にも原因があるのでは?”」
とのご意見をいただきましたので、科学的に検討を行いました。

上の写真はテレビ放映の一コマですが、非常に参考になります。

生乳を遠心分離すると、表面に乳脂肪分が浮き、底の部分に水分がたまります。
その境界域に、プラークの原料となる脂肪酸が濃縮されているのでは?・・との“仮説“です。

その仮説を以下に整理してお示しいたします。

豆知識:
脂肪酸の種類では、その吸収過程が異なります。なぜでしょう?
動物の乳には、短鎖・中鎖脂肪酸が含まれています。生物の創造主のご意思では、動物の赤ちゃんが生後間もなく動けるように、飲むとすぐ血中に移行して(糖分と同じ吸収経路)短時間に全身の細胞でエネルギーとして活用される短鎖・中鎖脂肪酸を創造されたのでしょう。また、ココナッツオイルの約60%が中鎖脂肪酸と言われています。魚や肉の脂はほとんどが長鎖脂肪酸ですが、中鎖脂肪酸も一部含まれています。なお、植物油、種実類、卵には、短鎖脂肪酸も中鎖脂肪酸も含まれていません。脂肪酸の種類が非常に多いのはなぜでしょうか? どれも必要なのでしょうが、不思議です。

もし、上図の仮説が正しいなら、
普通牛乳・バターと、脱脂乳(脂肪0ヨーグルトの原料)の脂肪酸の割合の配分が異なるはずですが・・

実際に比較検証すると、以下の表です。

短鎖・中鎖脂肪酸は脂肪0ヨーグルトの中に濃縮されていません。
つまり、短鎖・中鎖脂肪酸はプラークの原因物質ではありません。

なお、各脂肪酸の量から計算すれば、バターを9g摂取すれば、脂肪0ヨーグルト100gに含まれている短鎖・中鎖脂肪酸を40〜70倍量を摂取した量になります。

毎朝パン食でバターを9g摂取した人が、短期間に脳梗塞になるなどという事実はありませんので、
やはり、短鎖・中鎖脂肪酸はプラークの原因物質ではありません。

なお、脂肪0ヨーグルトと普通ヨーグルトの比較では、無脂乳固形分の量は大差ありません。

ですから、脂質摂取の観点からは、脂肪0ヨーグルトでプラークが実際に悪化することなど、科学的に考えればあり得ません。

ただし、“発酵は善”と考えがちですが、脱脂乳を発酵させることで、後述するファクター“x” が産生されている可能性は否定できません。

実際に、バイオ技術を用いた錠剤のサプリ(ある種の生きた枯草菌配合)で、骨粗鬆症を改善するための“骨のケア”に役立つ製品が発売されています。しかし、その作用が事実であれば、骨を貪食する“破骨細胞”の働きを抑制するファクター”Y” を含んでいる? あるいは、錠剤に配合されている生きた枯草菌が、腸管内でファクター”Y” を産生するのか、そんな状況が考えられます。

破骨細胞は、マクロファージが変身した細胞ですから・・“動脈プラークの石灰化を貪食して欲しいと願う立場”からは、迷惑な作用のある錠剤です。

(納豆菌も枯草菌の一種ですから、納豆菌が破骨細胞の働きを抑制するかどうかに興味があります。なぜなら、納豆の多食でもプラークが肥厚しますので。)

注:2021年4月29日掲載の記事で、脂肪0ヨーグルトの過摂取で、なぜプラークが悪化するかの原因をつかめたとするアナウンスをしましたが、訂正します。まだ、原因不明です。

でも、プラークの悪化が、短鎖・中鎖脂肪酸の影響ではないということが判明しただけでも、一歩前進です。

消去法で考えると、やはり・・原因は腸内フローラのバランスが崩れ、マクロファージや血管平滑筋細胞などの貪食能が特異的に低下するため・・、そして、その原因は・・・ファクター”x” の影響かもしれません。

でも、事実関係を整理して、事実は事実として真摯に受け止め、
現状では、推奨ヨーグルトの摂取量を以下の図のようにいたします。

 

<推奨ヨーグルトの守るべき摂取量:2021/4/29 改定>
1)「ブルガリア菌の普通のプレーンヨーグルト30g(大さじ半分)を1日置き摂取」

or
2)「普通の豆乳ヨーグルト(プレーンタイプ)30g (大さじ半分)を1日置き摂取」 (上図)

「注:深い訳)ヨーグルトを大さじで普通にすくい上げるなら、1杯:約30〜40g程度ですが、大さじ1杯と表示すると、50〜60gを山盛りにすくい上げる方がザラです。そんな“大雑把”な方のプラークが悪化しますので、そんな方を心配して“大さじ半分(30g)”と表記しています。計量カップで測られる方は25〜30gでお願いいたします。そもそも、データ収集の際には5〜10gの誤差は普通にありますし、少なめに摂取されて悪化することはありません。でも、少しでも多く摂取すると悪化し健康被害につながります。ですから、30g (大さじ半分)と記載しました。また、普通ヨーグルト30gの隔日摂取(新しい摂取量・方法)と脂肪0ヨーグルト毎日30〜40g摂取(従来の摂取量・方法)との効果の優劣は4〜6ヶ月後に判明します。」

<教訓のまとめ>
1. 頸動脈だけでは動脈硬化の正しい判定は困難。命を左右する場合があるので、頸動脈以外の血管エコーも必要。
2. 全身の動脈の、1カ所のプラークだけが急速に肥厚する場合がある。
症例1では、たまたま右大腿動脈でしたが、たまたま脳動脈の一部、たまたま冠動脈の一部であっても矛盾しない。
3. 複数カ所の血管プラークを観察中に、1カ所のプラークが改善、でも他方はプラーク悪化、という場合も決して珍しくない。
4. プラークがある程度肥厚している場合は、非常に短期間に、その場所のプラークが進行する場合が多く、(埃がたまる場合と同じ、ただし例外もあり)、少なくとも年に1度は血管エコーを受けるべき。
5. LDLの値を薬で下げることで、本当に動脈硬化の予防ができると考えてもいいのか疑問。
(症例1で最悪の状態にプラークが進行中の時に、LDL=116 L/H比=1.9 RLP=3.8 であり、
いずれも正常範囲内であった。 RLP=レムナント・リポタンパク)

**あとがき**

今回の記事にて、牛乳をいたずらに怖がらないようにいたしましょう。

そもそも、世界で一番長生きの男性のグループは、スイス人の男性です。日本の男性よりもはるかに多くの乳製品を頻繁に摂取しているようです。(留学生などの、多くのブログより)。

私の書籍でも検討済みですが、牛乳や乳製品は時々少量摂取が健康に良さそうです。
ただし、低脂肪・無脂肪の様々な乳製品の摂取には、慎重である必要があると思います。

プラークは脂質(脂肪)の塊です。単なる脂質(脂肪)の粒子が血行力学的に、血管内皮細胞の間隙をすり抜けて、血管内膜・中膜に沈着するのですが、血行力学的な作用だけを考えると、症例1の右大腿動脈だけに激しく沈着するようなことは決してありません。 謎が多すぎます。

でも、事実は事実ですから、その理由として考えられるのは・・
1)プラークが急速に溜まりだした部分の、血管内皮細胞の機能不全。
2)プラークが急速に溜まりだした部分の、マクロファージや血管中膜に存在する血管平滑筋細胞の貪食機能不全。

などが考えられます。

***私の動脈硬化理論と事実を踏まえた仮説です****

 『 動脈硬化(プラーク)を治せなければ、その動脈硬化理論は“誤り”であり、すべての人の動脈硬化(プラーク)を治せなければ、その動脈硬化理論は未完成である 』

あくまでも理論的な存在ですが、脂肪0ヨーグルトにはファクター“x” が含まれているとして、血管平滑筋細胞やマクロファージなどの細胞に、どのようにして、直接的あるいは間接的な(腸内細菌のバランスを介するなど)影響を及ぼしたのか?  

もし、ファクター“x” が存在するなら、“揚げ物”や“焼き肉”の過食、“アルコール”の飲みすぎなどといった、判りやすい動脈硬化進行の原因以外に、何気なく摂取している脂質が高くない食品にファクター“x” が多く含まれている可能性もあります。

発酵菌種の違いで、免疫細胞の能力に差異が生じることは、ある種の乳酸菌がピロリ菌の活性を低下させたり、尿酸値の上昇を抑えたり、インフルエンザの感染率を低下させたり、枯草菌の一種が、破骨細胞の貪食作用を抑制したり・・等々、様々な作用が報告されていますので、事実と思われます。

実際に、脂肪0ヨーグルトの使用経験でも、同じ分量の脂肪0ヨーグルトであっても、メーカー(乳酸菌の種類)によって、かなり“プラーク悪化の程度”が異なることを実感していますが、その理由として、発酵菌の違いで、ファクター”x” の含有量が異なるためだろう・・と考えれば納得できます。

また、食品添加物などの化学物質にもファクター“x” 類似の作用があるのかもしれません。 バナナにもファクター“x” が含まれているのかもしれません(血管エコー実例・研究 29))

食習慣点数が低値(脂質摂取が少ない)の方で、プラーク堆積+++の方の食習慣については、今まで摂取してきた全てにおいて、健康にいいと信じきっていた食品、例えば、クエン酸の摂取や酢類の過摂取(血管エコー実例・研究 29))なども含めて、 改めて見直す必要がありそうです。

現代科学では解明・理解できない事実が生じる場合、その原因としては、生き物の行動や、未検出の物質、作用が不明な物質、今までの常識では到底考えも及ばない物質が原因・・と、考えるのが論理的です。
生き物とは、ウイルス、細菌やカビ、免疫細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞などです。

レオナルド・ダ・ビンチの言葉
『ちっぽけな確実さは大きな嘘に勝る。』

2021年5月13日 記載
真島消化器クリニック
真島康雄

 


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