久留米市野中町の肝臓内科・血管内科・消化器内科・乳腺内科です。電話:0942-33-5006
長年続く“片頭痛”も・・動脈硬化(プラーク肥厚)を改善させることで・・完全に完治させることが出来るかもしれません。
“片頭痛”は、神経内科や脳神経外科でトリプタン系のお薬をいただき、定期的に専門医の診察を受けて通院するのが普通です。
・・根治する期待や希望も乏しく・・そのような通院が長く続きます。
今回、
RAP 食によってプラークが退縮し、それに伴って50年来の“片頭痛”が完治した症例を経験したので供覧します。
「今回の症例呈示に関連して、開示すべき「利益相反」関係にある企業はありません」
<Case. 1:68歳 女性>
『50年来の片頭痛が、RAP食による頸動脈プラーク改善と共に、完治した1例 』
写真1
『プラークの経過』
写真1のごとく、初診から一旦プラークが改善したものの、その後にプラークは悪化の局面に突入しました。その当時、多くの症例において、悪化の原因の一つが・・大豆食品の過食だと判明しましたので、プラークが2.27mmになった時点でRAP食を修正し(2017年6月)、その後は順調にプラークが改善しました。(詳細は後述)
『臨床経過』
下の表1を供覧。
表1
<主訴>
頸動脈エコーでプラーク指摘(他の病院にて)
<現病歴>(表1参照)
<当院初診時の服薬状況>
「A病院より」
<2016年2月 当院 初診>
(LDL=167 TG=292 HDL=51 BW=60.4Kg BMI=24.8)
(持参データ:2015年9月採血分)
<食の好み>
甘いもの:好き、肉:好き、野菜:大好き、魚:大好き、揚げ物:普通。
酒類:0点
食習慣点数=223点(やや高い得点:得点は2018年4月出版の書籍を参照ください)
<2016年2月下旬 初診時の血管エコー>
8カ所の血管エコー(血管エコー実例・研究 1))
腹部大動脈IMT=1.98mm(A-max)
右鎖骨下動脈=1.55 mm(S-max)
右頸動脈分岐部〜内・外頸動脈:IMT=0.47 mm
左頸動脈分岐部〜内・外頸動脈:IMT=0.87 mm
右総頸動脈IMT=1.23 mm 左総頸動脈IMT=2.07mm (C-max)
右大腿動脈IMT=0.92 mm(F-max) 左大腿動脈IMT=0.73 mm
******脳梗塞・心筋梗塞リスクレベル= 2(0〜4)****** T-max=6.52 mm
<治療>
RAP食を開始し、
<初診後の経過>
『頸動脈プラークの経過』
『片頭痛の経過』(表1)
1970年5月頃〜片頭痛が出現。ロキソニンを時々服用して対応していた。
2008年頃から 片頭痛のためのお薬:マクサルトRPD(10)1&ロキソプロフェン(60)1を頓服で・・1〜2週間に1回の割合で服用・・その後も同様の頻度で服用。
2016年2月 初診時も・・片頭痛薬は継続服用中。
2016年10月・・・・・・・・・・片頭痛薬は継続服用中。
2017年10月・・・・・・・・・・片頭痛薬の服用回数が減少中。
2018年10月・・・・・・・・・・片頭痛薬は服用しないで良くなっている。
2019年10月・・・・・・・・・・片頭痛薬は服用なし。
2020年6月・・・・・・・・・・片頭痛薬は服用なし。
(要約)
50年以上も治らなかった片頭痛ですが、
RAP食開始から1年を経た頃から・・徐々に出現回数が減り・・軽くなり・・2年半後の、2018年10月には・・完治状態になった。
『胸の圧迫感』(表1)
2006年10月以降に・・年に1〜3回の割合で“胸部圧迫感”が数分間・・出現するようになる
2016年2月の初診時まで・・同様の圧迫感が同じ頻度で継続して生じていた。
2016年10月時点では・・胸部圧迫感はなくなり、
2017年10月でも・・・・胸部圧迫感なし
2018年10月でも・・・・胸部圧迫感なし
2019年10月でも・・・・胸部圧迫感なし
2020年6月でも・・・・胸部圧迫感なし-----完治状態。
<結果>
1)RAP食による総頸動脈プラークの退縮に伴い、
50年来の片頭痛が改善し、2年半後には完治した。
2)RAP食による総頸動脈プラークの退縮に伴い、
胸の圧迫感(安静時狭心症)の出現が全く消失(完治)。
<考察>
1)初診時から、一旦退縮したプラークが・・・・明らかな肥厚へと転じた原因は・・・
RAP食が・・まだ進化の途中だったために・・
“納豆菌や乳酸菌で発酵した大豆食品の過食がプラークを悪化させる”といった・・前代未聞の「驚愕の事実」・・を、当時(2016年)はまだ・・認識していなかったためです。
この症例も、
2017年6月にプラークが最悪(最肥厚)になった時点で、トコロテン150g:2〜3回/W→150g/d(毎日)へ修正指導したところ、トコロテンのおかげだと思われますが、プラークは改善傾向に転じたものの、改善スピードは鈍く、
2018年6月に、他の症例の観察結果を踏まえ、過去に推奨食品であった:豆乳ヨーグルト100g/d→0(中止), 豆乳200cc/d→0(中止), 納豆1P/d→0(中止) へと食事指導を修正し、
その後は順調にプラークが退縮中です。
納豆菌や乳酸菌で発酵した大豆食品の過食は・・実に恐ろしいです。
この症例は例外でもなんでもありません。(動脈硬化の未来塾 87))
納豆菌や乳酸菌で発酵した大豆食品は・・現代人にとって・・健康食品・・とはいえない!
医療関係者はいつまでも昔の・・古き良き時代の医学常識に囚われて、栄養指導しては危険です。 それは・・ある意味“罪”です(これは自戒を込めて)。
2)“胸部圧迫感”は安静時狭心症と思われますが、安静時狭心症はEPA製剤とRAP食で・・根本的に治せます。(動脈硬化の未来塾 41))
冠動脈血管拡張剤の内服や貼り薬などは対症療法ですから・・プラークが減らなければ・・一生・・お薬のお世話にならなければいけません。
3) LDLやTGやHDLでは、動脈硬化の進行具合は・・ほとんど分からないのです(写真1)。
LDLなどの変動にかかわらず、実は・・食習慣に左右されて・・プラークの増減が・・・ダイナミックに起こっているのですが・・血管エコーを継時的に行わないなら・・このような状況の把握は・・・全く不可能です。
現代医学の大きな欠点は・・血管エコーを臨床の場で活用できていない事にあります。
血管エコーのない“人間ドック”!・・そのネーミング・・・造船業界に大変失礼かと。
**** つぶやき ****
1)科学の進歩には・・事実の観察と・事実の確認作業が極めて重要で・・必要不可欠ですが・・
現在の動脈硬化の学問の基礎部分である・・動脈硬化の成り立ちを、プロのイラストレーターが描くと・・・いかにもリアルな写真・映像のようですが・・矛盾だらけです。(動脈硬化の未来塾 47))
今回の症例も・・食品摂取の事実関係と、プラーク増減の事実関係を、時系列で並べると・・やはり・・他の症例同様に・・納豆菌や乳酸菌で発酵した大豆食品の過食がプラーク悪化の大きな要因であっただろうと認定可能です。
「プラークが改善する」という事実こそが・・・今の「動脈硬化のメカニズム」学説が誤りであるという・・・動かぬ証拠です。
2)日々進化を遂げるRAP食ですので・・昔の私の指導通りに・・何も疑わずに実行されている方々へ・・昔の私の言葉を信じていただくのは大変ありがたいのですが・・
最新の食事指導内容への・・・“チェンジ”・・・を是非とも・・お願いいたします。
実地研究を反映した・・最新のRAP食は・・(血管エコー実例・研究 29))の最後の部分に追記していますので、必ず・・月に一度は・・ご確認ください。
3)衝撃の事実を確認しても、簡単に・・書けない事実もありますので・・何げに推奨しているもの以外は・・推奨できない特別な何かが・・事実として・・あるのかもしれない・・と、ご推察ください。
『事実は・・(頭で考える)医説よりも奇なり』
2020年6月16日記載
2020年6月現在の時点では、大豆食品全般をプラークの原因物質かのように理解をせざるを得ない事実関係に、度々遭遇したために、大豆がプラーク退縮に好ましくない食材と認識していました。
しかし、2023年5月時点では、大豆食品ではなく、納豆や豆乳ヨーグルトなどの、発酵した大豆食品の過食が腸内環境のバランスを破壊し、マクロファージの貪食能を低下させる・・との見解で・・・・今のところ問題なさそうです。
過度の脂質摂取を慎み・・RAP食における1日あたりの脂質摂取量を守れば・・豆腐や枝豆、きな粉など・・普通に食しても問題ありません。
むしろ、枝豆や豆腐(絹ごし・木綿は不問)は、たんぱく質摂取の観点からは・・むしろ・・推奨食品としています。
ただし、発酵していない豆乳といえど・・・短時間で乳酸発酵しやすいので・・摂取を控える方が無難です。
プラーク治療における・・適度な乳酸菌の摂取量は・・・普通一般に考えられている量よりも・・・はるかに・・はるかに・・少量なのです。
なお、脂肪0の大豆食品・大豆原料品はOKですが、脂肪0の乳製品・乳原料品は・・RAP食では・・少量でも・・禁止です。 (血管エコー・実例研究 29))
(糖質制限を行えば痩せ過ぎとなるため、中程度以上の糖質制限は推奨できません)
2023年6月2日 付で修正&加筆・追記
真島消化器クリニック
真島康雄