Dr.真島康雄のバラの診察室

テッポウムシ被害の予防策:親(カミキリムシ)を高効率に捕獲するための知恵

映画“ターミネーター“をご存知でしょうか?「2029年、コンピューター”スカイネット“が支配する世界で、人類のために立ち上がった指導者ジョンコナーに苦戦を強いられたスカイネットは、ジョンコナーが生まれる前の過去にマシーンを送り込み、その母親を抹殺しようと試みる・・」

これは、最も確実で賢明な戦略です。

未来(来年)のテッポウ虫被害を0にするには、母親になる予定のカミキリムシを、カップルになる前に捕獲すればいいのです。

まずは、テッポウムシの両親の姿を目に焼き付けましょう。

バラは、主にゴマダラカミキリムシの幼虫(テッポウムシ)による被害。でも、シロスジカミキリムシの幼虫による被害もあり。

バラの最大の敵はカミキリムシの卵から孵った幼虫:別名“テッポウムシ”です。根幹部を2年かけて鉄砲の筒みたいに食い荒らし、枯らします。

この問題を解決するために、2003年から研究課題として取り組み2014年には、大きな成果を上げるに至りました。その作戦とは・・・「バラのお悩み解決帖」で報告していますが、今回と次回はその進化形をお話しいたします。

2011年までは、親のカミキリムシを偶然に見つけて捕獲・・これは・・単なる日記でした。

2012年に、イラガの生態と同じく、何らかの法則が?・・と気付き、2013年からは、日記のデータを分析し、2014年からは確かな意志を持って、6月1日から親(カミキリムシ)の捕獲に努めました。

結果、2014年には年間16匹もの親(カミキリムシ)を捕獲しましたが・・・

2015年からは、ゴマダラカミキリムシ予防ネットの開発に着手し、
2017年は、開発した予防ネット内で親を捕獲しようと、ネット内の観察に注視・・結果・・株の上方や側面の枝の観察がおろそかになり、捕獲匹数が半減(見逃し数増加)。

2020年は朝夕のコロナ対策でバラに時間を割けず、見回り回数減→捕獲数が減少。(見逃し例は10匹程度?)
2021年 コロナ対策でゴマダラ防止ネットの設置、メンテナンスに時間を割けず・・そのために、今年こそは・・飛来したカミキリムシは、交尾する前に確実に捕獲しようと決意(早朝&夕方も見回り)。・・私にとってのバラは・・リアルな“生物”で可愛いペットなのです・・

メモ:
朝夕の見回りができずに、取り逃がし例があるとすれば、7月下旬までパトロールが必要。

以下には、2021年のカミキリムシ捕獲のリアルな状況を全て記録しましたので・・
バラ愛好家にとって・・「必須なお世話」として認知していただけたら幸いです。

<カミキリムシを探せ>・・・これは・・ある意味・・ヒトの・・狩猟本能に従った行為でもあり・・・・遊び感覚でもあり・・苦にはなりません。

どこに?

拡大です

他に、情報は?

どこに? ちなみに黒点病は・・薬(毒)を散布して予防・治療する必要はありません・

拡大です この時期、黒点病で・・葉が少ない方が発見しやすいメリットも・・

寿命が短く、「昼も食事して・・急いで子孫を残さねば・・」..つまり、昼の見回りも必要!

この食事痕は大きい!

どこに?

拡大です 葉に留まる虫は大抵・・コガネムシ、枝なら・・カミキリムシです。

どこに?

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つるバラを見上げれば・・

不用意にバラに近づき、カミキリムシが飛び立ち・・壁面へ・・・どこに?

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どこに?

どこに?

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つるバラを見上げて・・シルエットでも、触覚は特徴的に目立つ

どこに?

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どこに?

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どこに?・・逆光で難易度高い

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反対側から・・順光での観察

どこに?

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どこに?

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どこに…昨日と同じバラの木

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どこに?

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どこに? 葉が少ないので見つけやすいのですが・・

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どこに? この時期、黒点病で葉が落ちて、カミキリムシ発見には好都合 黒点病に感謝

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どこに?

拡大です

事実関係

  • 2003年6月6日—枯れたメグスリノキでカミキリムシ1匹捕獲----穴から出てきた!
  • 2003年6月7日—枯れたメグスリノキでカミキリムシ1匹捕獲----穴から出てきた!
  • 2003年6月8日—枯れる寸前の・・弱ったバラの株元で発見----穴から出てきた!
  • 2012年6月2日 穴から出てきたと思われゴマダラカミキリムシ1匹捕獲
  • 2014年6月8日 穴から出てきたと思われゴマダラカミキリムシ1匹捕獲
  • 2016年6月8日 穴から出てきたと思われゴマダラカミキリムシ1匹捕獲
  • 2016年6月9日 穴から出てきたと思われゴマダラカミキリムシ1匹捕獲
  • 2017年6月6日 穴から出てきたと思われゴマダラカミキリムシ1匹捕獲
  • 2021年6月5日 穴から出てきたと思われゴマダラカミキリムシ1匹捕獲

 

8月のカミキリムシ捕獲(いつまで飛来する?)・・18年間で最も遅い発見日は?。

  • 2013年8月8日 株元でゴマダラカミキリムシ捕獲 おそらく、産卵目的で飛来
  • 2013年8月10日 バラの幹上方の枝でゴマダラカミキリムシ捕獲

 

カミキリムシの心理学

1. 子育て(産卵)に適するバラの株を上空から見定めて着枝する。
a) 「背の高いバラ」・・日光の奪い合いに勝っているバラ株とみなす。上空からは株元の太さは見えず、株元が細くても産卵される。
b) 鉢植えよりも地植えの方が、背が高い場合が多いので、地植えの被害が多い。
c) 鉢植えでも樹高が1.5mを超えると産卵対象となり、樹高が低い鉢植えでも、机などの台などに置くと、樹高が高いバラとみなして飛来・産卵することが多い。

2. 食事中も、カップルになりたいという心理が働く。(背中の派手な模様はそのため)
a) 上方、側面から人目に(ムシ目に)つきやすい場所で枝を食事することが多い。カミキリムシの側面や触覚にも派手な白の斑点があるのは、枝に止まっている時も、側面方向から異性に見つけられやすいようにとの配慮です。
b) したがって、カミキリムシを探す場合は、逆光にならない角度から、上方および側面からの観察が望ましい。

3. カミキリムシが一番怖いのは、ヘビ。
a) カミキリムシの体温は意外にも暖かい。ヘビは温熱センサーでチェックしながら株元をうろつくので、夜間に株元に産卵する習性はない。昼間は、太陽光のため、ヘビの温熱センサーはあまり役に立たない。しかも、ヘビは野生の猫などの天敵を怖がり、昼間は活動が低下。したがって、産卵は早くてAM9時〜PM4時と思われる(観察事例から)。つまり、早朝の株元の観察は不要。
b) カミキリムシのお腹が・・なぜ黒一色か?
昼間、下から見上げる天敵のヘビに見つからないように・・と、思われます。

重要メモ:
:5月20日〜6月1日→シロスジカミキリムシ—株元や太い幹から、蛹が羽化してカミキリムシとして這い出してくる日---------幹〜枝の先端部分〜株元を観察&枝の食事痕を観察。

:6月1日〜6月10日→ゴマダラカミキリムシ--株元や太い幹から、蛹が羽化してカミキリムシとして這い出してくる日---------幹〜枝の先端部分〜株元&枝の食事痕を観察。

『まとめ』
○:5月20日〜7月8日はカミキリムシ捕獲の最重要期間

→カミキリムシ捕獲(朝の10分&夕方の10分)
 可能なら、昼も10分

(5月20日〜6月10日は・・特に“シロスジカミキリムシに注視!)
****************************************

備考:
6月16日〜6月29日・・・交尾の季節・・・

(多くはこの期間、出会いが成立すれば6月3日からでもカップル成立)
    ----------------幹〜枝先〜葉の上:観察ポイント------------------

<あとがき>:
2021年7月16日現在、7月8日以降のカミキリムシの発見なし。
カミキリムシ捕獲のための早起きシーズン(朝夕の最低2回の見回り)は・・ほぼ終了。
今後は、過去3年で最も遅い日にカミキリムシが飛来したのは2020年7月29日でした
(過去18年では2013年8月10日でした)

から、散発的な飛来に注意して7月31日までカミキリムシの見回りを続行。

今回の作戦は、最も重要な
1. カミキリムシを産卵前に捕獲する:一次防衛(水際作戦)でした。
ゴマダラカミキリムシは1個体で50〜200個もの産卵数と言われていますので・・今年の20匹捕獲(半数がメスとして)・・放っておくと・・この作戦をしないと・・元気に育っているほとんどのバラの木が被害を受け・・1〜2年後には半数のバラが枯れることになるでしょう。そして3〜4年後には・・バラの木は全滅・・・。

“バラ育てが難しい”という伝説・・その理由は以下の2つ

  1. 「農薬無しでは美しさを保てない薔薇」を推奨している、消毒ありきの本が多い。
  2. テッポウムシの被害(枯死)は農薬でも防げないから。

ゴマダラカミキリムシは、みかん、イチジク、桃、オリーブ、ブルーベリー、フェイジョアなどの樹木にも産卵します。

今回の情報は・・・果物・食用バラなどの樹木で、木クズが出ている穴へ殺虫剤を噴霧するのは・・・どうしても避けたい・・そんな方への・・耳寄りな情報になるはずです。

ファミリーにとっての大切な樹木が、命を落として枯れ、悲しむことがないように・・役立てていただければ幸いです。

なお、殺生は出来る限りしたくありませんが・・正当防衛ですので・・。

次回の掲載は、
・テッポウムシを早期発見し駆除する…2次防衛・・の掲載予定
(発明した2つの道具を紹介)

2021年7月18日 記載
真島消化器クリニック
真島康雄

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