脳梗塞・心筋梗塞の予防法

運動が脳梗塞・心筋梗塞予防に役立つ?―常識の“誤り”

表でもお判りいただけますが、運動をしていた人ほど血管プラークは溜まっているのです。つまり、「運動は脳梗塞・心筋梗塞の予防にならない」のです。
なぜでしょう?

1)実例では、つい最近34歳の有名なサッカー選手(松田選手)が心筋梗塞で倒れましたが、サッカー監督のオフト監督や野球の長嶋監督は脳梗塞になり現役を退かれました。

2)そもそも、血管の脂汚れは、身体のあらゆる細胞から嫌われて、引き取り手がなくて、血管をぐるぐる長時間流れているうちに、流体力学に従って沈降・沈殿して血管壁に溜まった代物(主に劣化コレステロール)なのです。あたかもゴミ箱のゴミみたいに溜まった脂汚れを、運動したからといって身体が酸化した賞味期限切れの脂を利用するでしょうか? 運動したらまず肝臓・内臓の脂肪などの良質な脂を燃焼させるでしょう。人間だってお腹が空いたらゴミ箱の中の“腐った食べ物”ではなく、冷蔵庫の中に蓄えている新鮮な食べ物を食べるはずです。

3)それに、「キャラメル1粒で300m走れる」は懐かしいグリコキャラメルのキャッチフレーズでした。このことはカロリー計算すると正しく、人間は少々運動してもカロリー消費は少なくて済むように設計されていたのです。

これらのことを理解いただければ、血管にプラークが危険レベルに溜まっている人は運動をしてはいけないことがお判りだと思います。汗を流すと一時的に脱水になります、そうすると血液がドロドロになりますので、脳梗塞や心筋梗塞になり易いのです。
食習慣を完全に改善してプラークが減った後なら運動してもかまいませんが、脳梗塞や心筋梗塞予防のために運動をしようなどとは決して考えてはいけません。
ただし、足腰のために平地の散歩は問題ありません。

運動している(健康にいい事している)という安易な安心感が食習慣の改善への注意を鈍くさせたら致命的です。特にフライ物・肉が大好きな若者や定年前後の年代は特にご注意ください。

運動の前の血圧測定や心電図検査などは必要ですが、心筋梗塞・脳梗塞を予知できる検査ではないことはご理解いただきたいと思います。

飛行機やヘリコプターのパイロット、バス・タクシーやトラックの運転手、急流下りの船頭、電車の運転士などの職業の方が急に脳梗塞・心筋梗塞になられたら・・・と思うと非常に気がかりです。

10年以上前に五島に飛行機で出張した際に数人乗りの飛行機で、パイロットは一人でした。「この人が急死したら自分を含めて乗客全員も死ぬんだろうな・・・」と切実に思った記憶があります。操縦桿を握ると必ず血圧は上昇するでしょうし、悪天候ならストレスで更に血圧は上昇します(血管は細くなります)。もしプラークが溜まっていたら脳梗塞・心筋梗塞に極めてなり易いのです。

MRI・血圧計・採血・血管壁年齢検査では脳梗塞の予知は困難です。3Dの心臓CTは心筋梗塞の予知に有用ですが、脳梗塞の予知が出来るわけではありません。
この8カ所の血管エコーで健診すれば、脳梗塞・心筋梗塞の両方の危険性が明確に判断できるのですが・・・。
早くそのような未来に我々医師がしなくてはいけないのですが・・、一部の人でも助かって欲しいという願いを込めてこのホームページを作成しています。

当院に通院中の元オリンピック競泳選手の実例などをご覧下さい。(参照1)(参照2

追記:今から30年前。大学の外来診察をしていましたが、中肉中背で糖尿病も高血圧もない45歳の慢性肝炎の方の突然死を今も記憶しています。運動自慢の方で、草野球の試合で3塁打コースの当たりを放ち、2塁ベースを急いで回った直後に心筋梗塞で倒れて亡くなられました。“狭心症はなかったはずだが・・・”とか“喫煙歴はあったかな〜”程度しか考えませんでした。
今の自分なら絶対に予防できたはずなのに・・と、遠い過去が思い出されます。

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Dr.真島康雄のバラの診察室

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